P-II-40
極低出生体重児における左室容量,心筋重量の変化
名古屋第二赤十字病院
横山岳彦

【背景】極低出生体重児において,収縮末期壁応力が生後24~48時間にかけて増大することが報告されてきた.48時間に向けての増大の原因として血圧の上昇や,左室内径・壁厚比の変化が影響を与えていると考えられている.しかし,96時間に向けて減衰する理由は不明であった.今回,われわれは左室内径・壁厚比の変化に左室容積,左室心筋重量の変化が影響を与えているとの仮説を検証するために拡張末期左室容積(EDV)と左室心筋重量(LVmass)の出生後の変化を検討したので報告する.【症例】当院NICUで2006年 1 月以降に生まれた 9 例の児である.出生体重934.7 ± 298.8g(500~1,376g),在胎週数26週5.7日 ± 13.85日(24週 1 日~29週 5 日).【方法】Philips社製Sonos 5500を用い,area-length法により,短軸断面と四腔断面よりEDV,LVmassを測定し,出生時体重で除したもので比較した.生後12時間,24時間,48時間,96時間と連続 4 回測定した.反復測定分散分析の後,2 群間はpaired t test行った.p < 0.05を有意とした.両親に,研究についての説明と同意を文書によって行った.【結果】EDVは生後12時間から24時間にかけて,増大し(1.21 ± 0.25,1.54 ± 0.45),その後低下する傾向を示した.LVmassは生後48時間から96時間に有意に増大した(1.72 ± 0.47,2.01 ± 0.33).【考察】出生後24時間にかけて左室への容量負荷があることが示された.48時間から96時間にかけて心筋重量が増大し,心筋肥大反応が起きていると考えられる.生後の左室容量負荷への適応のために,心筋重量の変化が起きている可能性が考えられた.

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