P-II-42
血中NTproBNP濃度は小児の心不全を反映する
旭川医科大学小児科1),富良野協会病院小児科2)
杉本昌也1),梶野浩樹1),中右弘一1),真鍋博美1),藤保洋明2),藤枝憲二1)

【はじめに】NTproBNP(N-terminal pro-brain natriuretic peptide)はBNPに比べ血中半減期が長く,心不全の検出に有用とされるが,小児における報告は少ない.【目的】日本人小児におけるNTproBNPを測定し,小児における正常値を検討するとともに,心不全評価における有用性を明らかにすること.【対象】旭川医科大学小児科および関連病院に通院している小児412名.年齢は 0 カ月~27歳(中央値2.1歳),男児229名,女児183名.このうち心疾患があるものは166名で,利尿薬や強心薬,末梢血管拡張薬を内服している患者124名を心不全群,それらを内服していない患者42名を非心不全群とした.さらに,文書により承諾の得られた健常小児ボランティアと冠動脈病変のない川崎病患者246名をコントロール群とした.【方法】血漿中のBNPをCLEIA法で,NTproBNPをECLIA法により測定した.また,心不全の重症度の評価としてRossスコアを用い心不全stageとしてno,mild,moderate,severeの 4 段階に分類し,各群間でBNP,NTproBNP値を比較検討した.【結果】コントロール群では,NTproBNPはBNPと同様に加齢とともに低下していく傾向があり,学童以降では約300pg/mlが正常上限と思われた.心不全群におけるBNP,NTproBNPは非心不全群とコントロール群に比べ,有意に高値であった(p < 0.01).また,BNP,NTproBNPはどちらも重症度とともに値が上昇するが,NTproBNPは心不全のすべてのstage間で有意差を認めた(p < 0.05).【結論】NTproBNPの方がBNPよりも正確に小児の心不全の重症度を反映していた.心不全の簡便な評価法として非常に有用である.

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