P-II-44
外科的に作成したモデルマウスに対するtissue Doppler imagingによる評価
東京慈恵会医科大学小児科1),スタンフォード大学小児科2)
浦島 崇1, 2)

【目的】マウスを用いた心疾患モデルはtransgenicまたはgene knockoutへの応用が可能であり分子生物学的研究において重要な役割を果たすことが期待される.外科的に両心室の圧負荷モデル,心筋梗塞モデルを作成しin vivoでの正確な評価が可能か検討する.【方法】いずれも生後 8 週の雄FVBマウスを用いた.左心室圧負荷モデルとして大動脈弓絞扼術(TAC),右心室圧負荷モデルとして主肺動脈絞扼術(PAC),心筋梗塞モデルとしてLAD ligation(MI)を施行し各16匹のモデルを作成した.コントロールは性別年齢を一致させたFVBマウスを使用した.エコーはGE社Vivid 7,dP/dtと圧測定は1.4F Miller micro catheterを使用した.【結果】コントロールにおいて侵襲的に測定した左心室のdP/dtと心エコーtissue Doppler imaging(TDI)で測定したendocardial velocityはよい相関(r = 0.85)を示した.術後 3 週間のTACでエコー所見から算出したLV mass indexは有意に増加(p < 0.001,145.1 ± 25.1 vs 91.0 ± 7.2)し心摘出後に計測した左室重量とよい相関(r = 0.88)を示した.エコーによる絞扼部前後の圧較差とカテーテルでの所見はよい相関(r = 0.91)を示した.PACにおいて侵襲的に測定した右室圧とエコーによる絞扼部前後の圧較差(r = 0.85),右室dP/dtとTDIで測定した右室free wall velocity(r = 0.81)はよい相関を示した.MIにおいては左室前壁のwall velocityは有意に低下(p < 0.001,0.15 ± 0.05 vs 0.24 ± 0.08m/s)し2D strainを用いてintra ventricular dyssynchronyを描出することが可能であった.【結論】high frequency probeを使用することにより約30gのマウスにおいて非侵襲的にTDI,2D画像を得ることができた.両心室ともにTDIで得たwall velocityは侵襲的に測定したdP/dtと相関しwall velocityはcontractilityの指標として有用と考えられた.

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