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パリビズマブ接種後にRSウイルスに罹患した先天性心疾患児 3 例の検討
日本医科大学小児科
渡邉 誠,勝部康弘,深澤隆治,上砂光裕,大久保隆志,池上 英,渡邉美紀,初鹿野見春,阿部正徳,鈴木伸子,小川俊一

【はじめに】乳幼児がRSウイルス(RSV)の初感染を受けたとき,その一部が喘鳴,呼吸困難を呈して急性細気管支炎と診断される.特に,早産低出生体重児や先天性心疾患児はRSV感染重症化のハイリスク群である.近年,パリビズマブ接種によるRSV感染予防が保険適応となったが,完全な予防は困難である.われわれは,パリビズマブを接種したにもかかわらずRSVに罹患した先天性心疾患児 3 例の経過を検討したので報告する.【症例 1】在胎34週,出生体重1,864g,両大血管右室起始症,18 trisomyと診断された 4 カ月の女児.保存的治療にて経過中,パリビズマブ 2 回目接種 2 日前にRSVに感染し発熱 2 日目にSpO2 50%まで低下したため,人工呼吸管理を 3 日間要した.抜管後も呼気性喘鳴は持続したが,第12病日退院となった.【症例 2】在胎35週 5 日,出生体重3,192g,右房内心臓腫瘍を疑われ入院管理中であった 1 カ月の女児.心臓腫瘍による心嚢液の貯留により心タンポナーデが認めていた.パリビズマブ 3 回目接種 1 日前にRSV感染により呼吸障害,PHも出現し,人工呼吸管理を 4 日間要した.【症例 3】在胎38,出生体重2,402g,complete ECD(type A),21 trisomyと診断された10カ月の女児.両親の希望により外科的治療を行わず,経過をみていた.2 回目のパリビズマブ接種 2 週間後に発熱および上気道症状を認め,RSV迅速検査にて陽性.下気道症状は認められず,対症療法のみで症状改善した.【まとめ】パリビズマブ接種後 1 カ月間は効果が持続するといわれているが,1 カ月直前でRSVに罹患し重症化した症例を経験した.パリビズマブ接種の間隔は初回から 3 回くらいまでの間は,4 週間より短い間隔で接種することが望ましいと考えられた.また,パリビズマブ接種 2 週間後にRSVに感染したが,上気道炎のみにとどまり,パリビズマブの有効性が示唆された.

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