P-II-47
High risk Fontan candidateに対する経口肺血管拡張薬,クエン酸シルデナフィル,ボセンタンの有用性の検討
東京慈恵会医科大学心臓外科
木ノ内勝士,森田紀代造,黄 義浩,橋本和弘

【目的】Fontan candidateでは,段階的手術の途中に肺血管の条件がを満たさず,drop outする症例も少なくない.乳幼児 6 例に対し,肺血管の拡張,発育を目的としてクエン酸シルデナフィル,ボセンタンの使用を経験した.【方法】Pt1:criss-cross heart post Glennのlow PA indexに対して,Pt2:c-TGA,MA,DORV post PABのPHに対して,Pt3:MA,PA,DORV post fenestrated FontanのfenestによるdeSatO2に対して,Pt4:unbalanced AVSD post Fontan take down to GlennのPH,low PA indexに対して,Pt5:MS,hypo LV,DORV,CoA,post CoA,PABのPHに対して,Pt6:DORV,TAPVR post TAPVR repairのGlenn後の片側肺動脈閉塞によるPHに対してクエン酸シルデナフィルを開始,効果の弱いものはボセンタンへ移行,または併用した.心臓カテーテル検査を施行し検討した.【結果】Pt1:PA圧,Rpの上昇を認めたがPA index上昇,Fontan終了.Pt2:クエン酸シルデナフィル + HOT導入にてPA圧,Rpは改善,Glenn後HOT中止,PA圧低下不十分にてボセンタン追加,追加後catheにて効果なし,Pt3:deSatO2にて失神発作を認めたが,内服後症状緩和,fenestを閉鎖し,Fontan終了.Pt4:PA圧の低下,PA indexの増加を認め,Fontan終了.Pt5:PA圧,Rpの低下を認めたが,肺血管条件が厳しく,ボセンタン併用,開始後PA圧低下,Glenn施行,術後PA圧高く長期挿管,クエン酸シルデナフィル再開もPA圧変化せず中止,現在ボセンタンのみ内服中.Pt6:Glenn後片側肺動脈閉塞,クエン酸シルデナフィル開始もPA圧変化なく,ボセンタンへ移行.どの患者においても副作用の発現を認めなかった.【結論】Fontan candidateにおいて,肺血管の拡張,発育を期待し,クエン酸シルデナフィル,ボセンタンの使用を経験した.どの症例においても副作用なく,PAP低下,Rp低下,PA index増加等,効果を認めたが,その効果発現には時期,個体差があった.ただ,異なる効果発現経路の経口肺血管拡張薬の単独,併用療法はハイリスクフォンタン手術の一治療戦略となり得る.

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