P-II-50
バルーン抵抗性病変に対するカテーテル治療―without cutting balloon―
国立循環器病センター小児科1),放射線診療部2)
矢崎 諭1),渡部珠生1),北野正尚1),木村晃二2),越後茂之1)

【背景】高耐圧balloonでもwaistが残る硬い病変においてはcutting balloonの使用が治療成績を向上させるが,4mm径を超える製品は使用不能となった.【目的】硬化のため治療に抵抗性の病変に対するカテーテル治療の方法を検討すること.【対象・方法】SafeCutTM(OrbusNeich社)およびBuddy wire法(parallel wire法)を用いて肺動脈狭窄の拡大を試み,その効果や手技について検討した.【手技】5 歳女児,ファロー四徴 + 肺動脈閉鎖のMAPCA統合化 + 右室流出路再建術後の末梢性肺動脈狭窄.通常のバルーン拡大(Slalom 7mm,12atm)では5.5mmのwaistが残り,狭窄部は2.3 × 2.9mm→3.2 × 3.8mmへの拡大にとどまった.2 カ月後に同一病変に対して,SafeCut 3.5mm + Slalom 3mmのdouble balloon(A),Slalom 7mm(12atm)+ 0.014 inchのBuddy wire(B),Powerflex 7mm(15atm)+ 0.014 inchのBuddy wire(C)を用いた拡大を順次行った.狭窄部は治療前2.5 × 3.3mmから(C)後3.7 × 4.1mmに拡大した.7mm balloonのwaistは,(A)5.7mm,(B)5.8mm,(C)6.0mmであった.【考察】SafeCutは0.011 inch integral wireとmonorailの0.014 wireに拡張圧力をかける機構だが,double balloon法ではwireが病変部に当たる確率が低下するためか効果は乏しかった.当面は 1 から数本のBuddy wireを留置して高耐圧balloonで拡張する方法が,抵抗性病変に対する現実的な対策と考えられた.合併症発生時の患者保護の観点からは,cutting balloonやSafeCutの先天性心疾患病変への適応拡大を伴う大径balloonの製品化が望まれる.

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