P-II-51
肺動脈弁に対する経皮的バルーン肺動脈弁形成術
倉敷中央病院小児科
豊田直樹,西恵理子,原 茂登,脇 研自,新垣義夫,馬場 清

【背景】心内修復術前の肺動脈弁狭窄・閉鎖に対する新生児・乳児早期の経皮的バルーン肺動脈弁形成術(PTPV)は行われている.【目的】当院で施行したPTPVの治療成績,合併症,経過,意義について検討する.【方法】1998年から2006年までに心内修復前にPTPVを施行した,A群:重症肺動脈弁狭窄/純型肺動脈閉鎖(13例),B群:ファロー四徴(5 例)が対象.A群:施行日齢 1~19日(中央値 9 日),体重1.9~3.5kg(中央値2.8kg),B群:施行月齢 1~7 カ月(中央値 3 カ月),体重2.5~8.6kg(中央値3.3kg).【結果】A群:cPS 8 例とPA/IVS 2 例の計10例(2003年以降連続 7 例)で成功.バルーン/弁輪径比は0.92~1.63(中央値1.22).初期のPA/IVS 3 例は外科手術にまわった.しかし,ガイディングカテーテル使用後はバルーンの弁通過が容易となりPTPVの 2 例全例で成功した.合併症としては13例中 6 例に動脈管の狭窄化を認め,PGE1-CDに変更した.また,1 例に緊急短絡術を施行した.B群:全例でSpO2の上昇があり,肺血流量の増加が得られた.バルーン/弁輪径比は1.00~1.22(中央値1.02).合併症としては 1 例がPTPV後にチアノーゼ発作が出現し,緊急で心内修復術を施行した.平均弁輪径が55.3から66.8%に増加した.うち 1 例で弁輪温存が可能であった.また,BTなどでみられる左右肺動脈の変形も全例でみられなかった.【考案】ファロー四徴を含めた肺動脈弁狭窄・閉鎖に対する新生児・乳児早期の経皮的バルーン肺動脈弁形成術(PTPV)は手術が必要でなくなったり,手術時期を遅らせることができたり,また,最終手術前の治療としても有用であり,今後も検討されるべき治療である.

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