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肥大型心筋症とjunctophilin type 2遺伝子変異の相関
東京女子医科大学国際統合医科学インスティテュート1),循環器内科2),鹿児島生協病院小児科3),聖マリアンナ医科大学小児科4),東京女子医科大学遺伝子医学分野5),京都大学薬学研究科生体分子認識分野6),東京女子医科大学循環器小児科7)
松下愉久1),古川 徹1),笠貫 宏2),西畠 信3),栗原八千代4),鎌谷直之5),池田篤史6),竹島 浩6),松岡瑠美子1, 7)

【背景】肥大型心筋症は主としてサルコメアを構成する心筋収縮関連遺伝子の異常が原因と考えられているが,家族性に限定しても40%以上が原因不明である.【目的】効率的な興奮収縮連関に必要不可欠と考えられているjunctophilin 2と肥大型心筋症との関係を調べた.【方法】(1)肥大型心筋症患者188例を対象に,junctophilin 2遺伝子のコード領域をダイレクトシークエンス法で塩基配列を解析した.(2)アミノ酸変化を伴う塩基配列変化が見つかった部位について,健常者236例における塩基配列を解析した.(3)G505Sを中央に含む37残基よりなるペプチドを合成し,CDスペクトラムで二次構造の推定を行った.【結果】肥大型心筋症患者において,R436Cを 2 例,G505Sを 6 例新たに確認した.R436Cは健常者236例においても 2 例確認され,G505Sは健常者では認められなかった.G505Sを有する患者のうち 2 例は孤発性で,残り 4 例は家族性であった.野生型とG505Sペプチドにおいて,CDスペクトルに顕著な差が認められなかった.【結論】G505Sが肥大型心筋症に関与していることが示された.G505Sによる肥大型心筋症発生機構の解明は今後の課題である.

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