P-II-58
The sequence and expression analysis of CHD7
早稲田大学理工学研究科生命理工学分野1),東京女子医科大学国際統合医科学インスティテュート2)
古市吉秀1, 2),八木寿人2),寺井清美2),田中建志2),東中川徹1),松岡瑠美子2)

【背景】CHARGE syndrome(MIM 214800)はコロボーマ,心疾患,後鼻孔閉鎖,成長障害と精神遅滞,性器の低形成,耳介の変形と難聴を主徴とする先天性疾患で,前庭反射の消失を伴う半規管の低形成を共通して認める.近年,本症候群の原因遺伝子としてchromodomain helicase DNA-binding protein 7(CHD7)遺伝子が報告された(Vissers EL,et al:Nat Genet 36;2004:955-957).今回,われわれは本症候群と診断された 3 症例に対してCHD7の遺伝子解析を行い,またマウス組織を用いてCHD7の発現解析を行ったので報告する.【方法】CHARGE syndromeと診断された心疾患を伴う邦人患者 3 名を対象に,CHD7遺伝子の全exonをdirect sequence法で解析した.変異を認めた場合は,正常100検体DNAを用いて多型でないことを確認した.CHD7の発現解析はICR系統マウスの組織を用いてRT-PCR法,ウェスタンブロット法で解析した.【結果】われわれは 3 症例のうち 1 症例のexon2にナンセンス変異を確認した.また,マウス組織でのCHD7の発現状態はubiquitousで,脾臓で最も強い発現がみられた.【考察】CHD7はN末端に 2 つのクロモドメイン,中央部にhelicase/ATPaseドメイン,C末端にDNA-bindingドメインをもつが,今回確認した変異はこれらドメインをtruncateするものであった.CHD7はこれら特徴的な構造から,ヒストン修飾やクロマチンリモデリングなどエピジェネティックな遺伝子発現機構に関与するタンパク質であると考えられているが,いまだCHD7の機能に関する報告はされていない.したがってわれわれは,今回得られたデータを基にCHD7の機能を解析していく予定である.

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