P-II-62
膜電位依存性カリウムチャネルKv1.5およびKvβ1.2の細胞内局在に関する検討
東京女子医科大学国際統合医科学インスティテュート1),循環器小児科2)
羽山恵美子1),孫  芳1),松岡瑠美子1),中西敏雄2)

【背景】動脈管は胎児期に開存しているが,生後酸素に反応して収縮閉鎖する.血管の収縮弛緩は静止膜電位に依存するが,これはおもにカリウムチャネルによって制御され,閉じれば脱分極となり血管は収縮する.われわれは生後直後および胎仔のブタ動脈管ならびに肺動脈に発現するおもな膜電位依存性カリウムチャネル(Kv)αサブユニットはα1.5,β1サブユニットはβ1.2であり,α1.5はアクセサリーチャネルであるβ1.2によって不活性化を促進され,負の制御を受けることを報告した.Kvサブユニットの発現と活性化は,動脈管・肺動脈の収縮・拡張に強く関与していると推定される.【目的】βサブユニットによるαサブユニット制御のメカニズムを探る一端としてこれらサブユニットの細胞内局在を検討した.【方法】HAまたはFLAGをタグとしてC末に付加したブタKv1.5およびKvβ1.2を発現用のpIRESベクターに挿入し,HEK293細胞に導入して免疫蛍光染色を行い,共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて観察した.【結果・考察】Kv1.5は細胞膜に主として分布したが,細胞質にも観察された.Kvβ1.2は,単独で発現した場合は,細胞質全体に観察されたが,Kv1.5と共発現した場合は,Kv1.5の分布とよく一致し,細胞膜に分布した.また,Kv1.5とKvβ1.2を共発現させると,Kvβ1.2の発現量が増加する傾向がみられた.これらの結果から,Kv1.5とKvβ1.2を共発現すると,複合体として主として細胞膜に局在し,Kv1.5とコンプレックスを作ったKvβ1.2は,単独の場合に比べて細胞内で安定に存在している可能性が考えられた.

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