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純型肺動脈閉鎖に対する非直視下肺動脈弁切開の手術成績
福岡市立こども病院心臓血管外科
梶本政樹,角 秀秋,中野俊秀,塩瀬 明,檜山和弘,橘  剛,安東勇介

【目的】純型肺動脈閉鎖(PA/IVS)に対する非直視下肺動脈弁切開術(Brock手術)の手術成績について検討する.【対象・方法】1985年 2 月から2007年 1 月までに当院で101例のPA/IVSに対し外科治療を行い,初回手術として右室tripartite例に対するBrock手術37例を対象とした.手術時平均年齢46日(11~320日),体重3.2kg(2.1~4.6kg)であり,同時手術として体肺動脈短絡術を23例に併用した.【結果】Brock術後平均追跡期間7.9年(27日~22.7年)において,両心室修復(BVR)到達は20例(54%)であった.単心室修復(UVR)は 9 例(Fontan到達 2 例,Glenn 7 例),one and one half 1 例,2 期手術待機 5 例であった.手術死亡は認めず,遠隔死亡は 3 例(Brock術後 2 例,BVR後 1 例)であった.到達術式別では,Brock術前の平均三尖弁輪径(TVD)%NはBVR群77 ± 15,UVR群64 ± 14,平均右室容積(RVEDV)%NはBVR群61 ± 19,UVR群44 ± 14でありBVR群が大きかったが,右室/左室収縮期圧比(RVP/LVP)は両群差を認めなかった(BVR群1.7 ± 0.4,UVR群1.5 ± 0.3).TVD%N ≥ 65もしくはRVEDV%N ≥ 50ではBVR到達率76%であった.2 期手術前(平均664日)は,TVD%N(BVR群88 ± 17,UVR群67 ± 12)とRVEDV%N(BVR群73 ± 17,UVR群56 ± 13)は,BVRでは右室の発育を認め,RVP/LVP(BVR群0.7 ± 0.4,UVR群1.4 ± 0.1)はUVR群では有意の低下が認められなかった.【結語】PA/IVSに対するBrock手術後はBVR 54%,UVR 24%であった.Brock術前の右室狭小例〔TVD%N <(全角)65,RVEDV%N <(全角)50〕ではUVRの可能性が高かった.

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