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肺動脈狭窄合併単心室群に対する新生児期人工心肺下BT shunt・肺動脈形成術の効果
埼玉医科大学小児心臓外科1),小児心臓科2)
岩崎美佳1),加藤木利行1),枡岡 歩1),小林俊樹2),先崎秀明2),竹田津未生2),松永 保2),石戸博隆2),岩本洋一2)

Fontan型手術を最終目標とする単心室患者において,肺血管の十分な発育は重要である.しかし無脾症候群では動脈管組織の迷入による中心肺動脈の狭窄や末梢肺動脈の低形成によりFontan型手術に到達し得ない場合がある.【目的】新生児期に人工心肺を使用しBT shuntを施行した単心室症例について肺動脈の発育の程度・カテーテルインターベンションの必要性・手術成績と予後について検討した.【症例】2000年 1 月~2007年 1 月の期間に,人工心肺使用下にBT shuntを施行した症例12例(P群).対照は同時期に人工心肺を用いずにBT shuntを施行した症例12例(B群)とした.【結果】初回手術時は平均体重3.3kg,平均日齢24日であり,両群間に有意差は認めなかった.経過中に肺動脈狭窄を認め,カテーテルによるバルーン拡張術をP群では12例中 9 例(77.8%)に施行,B群では12例中 5 例(41.6%)に施行した.手術成績はP群ではFontan型手術到達 5 例,同待機 2 例,Glenn手術待機 4 例,手術死亡 1 例.B群では,Fontan型手術到達 4 例・同待機 1 例,Glenn手術待機 3 例,手術死亡 1 例,遠隔期死亡 3 例であった.有意差は認めなかったが,人工心肺を用いた症例では肺動脈狭窄に対するバルーン拡張の回数が多かった.【結語】新生児期に細い肺動脈を形成することは,技術的に難しく再狭窄率も高率である.しかし新生児期に左右肺動脈間の交通を保っておけば,その後のカテーテルインターベンションや再手術によりFontan型手術の到達率を高めることができる.

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