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最近の大動脈縮窄(COA),大動脈弓離断(IAA)の手術成績と問題点
兵庫県立尼崎病院心臓血管外科1),小児循環器科2)
藤原慶一1),大谷成裕1),大野暢久1),森島 学1),清水和輝1),藤原靖恵1),今井健太1),坂崎尚徳2),若原良平2),李 進剛2)

【目的】心内奇形を伴ったCOA/IAAの手術成績は飛躍的に向上しているが,まだ問題点の多い疾患群である.今回,同疾患群の治療方針とその成績について検討を行った.【対象】2000年 1 月からの連続25例(新生児20例)を対象とした.VSD:15例,Taussig-Bing(T-B):4 例(T-B群),単心室(UVH群):4 例,AP window,ASD:1 例であった.【方法】staged repair(SR)を原則としていたが,最近はUVHを除いてprimary repair(PR)を行うこととした.【成績】simple anomaly群(n = 17,新生児12例)〔COA:12,IAA:5(A:3,B:2)〕SR群(n = 8,COA:5,IAA:3)〔2~42(13)日,1.84~3.12(2.6)kg〕:初回は大動脈再建(EAAA法)を行い肺動脈絞扼術(PAB)は行わない方針とし,高度shockや脳出血を伴う症例でのみPABを行った.死亡 0 例で 1 例はVSD自然閉鎖,1 例は転居(他院でVSD閉鎖)した.心内修復術は 6 例〔12~334(106)日,期間:6~315(94)日〕で,同時にSub Ao解除,大動脈狭窄拡大術を行い死亡例はない.PR群(n = 9)〔VSD:7,AP window:1,ASD:1,COA:7,IAA:2,2~162(16)日,2.2~4.8(3.4)kg〕:腕頭動脈にgraftから(IAAではPAも追加)送血した.手術,遠隔死亡例はなく,大動脈弓再建部狭窄を認めていない.T-B群(n = 4,false:2,true:2,1~12日,1.7~4.0kg):SR(+ PAB)2 例,PR(Kawashima法)1 例で,ほかの 1 例(11日)はJatene後にCOAの修復を行った.SR群 2 例とも 3 カ月時Jateneを行い,いずれも手術死亡 0 例で,遠隔期に気管狭窄合併例 1 例を感染で失った.UVH群(n = 4,1~3日,2.2~2.6kg):LV(DILV)型 3 例,RV型 1 例で,PABはCV-0で行った.初回手術死亡 0 例.LV型は 2~4 カ月にDKS(BT:1,BDG:2)を行い,RV型は 3 カ月でBDGを行った.LV型の 1 例はDKS + BDG術後心筋虚血で死亡,他の 3 例は生存.遠隔期にLV型 1 例は房室弁逆流が進行し,人工弁置換(他院)時に死亡した.現在LV型の 1 例はTCPCに到達し,RV型の 1 例はTCPC待機中である.【結語】UVH群を除いて本疾患群ではSR,PRとも満足する成績であった.

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