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合併複雑心奇形を有する房室錯位に対するdouble switch operation(DSO)の検討
千葉県こども病院心臓血管外科
上松耕太,青木 満,内藤祐次,藤原 直

【目的】非特異的な合併心奇形を有する房室錯位に対するDSOの臨床経過を検討した.【対象と方法】2003年 4 月から2006年 8 月までに当院でDSOを行った 3 例で,手術時年齢は平均38カ月(2 ~89カ月),根治手術時体重は10.7kg(4.6~16.1kg)で,診断はdextrocardia,corrected TGAが 2 例でうち 1 例はnon-confluent PAであった.Ebstein's anormaly TR(III)を伴ったcorrected TGAが 1 例.3 例の術前カテーテル,エコー,術中因子,術後急性期の臨床経過,術後心エコー,カテーテル,CTを検討した.【結果】術前心機能は良好(術後カテ:平均LVEDV,LVEF,RVEDV,RVEFはぞれぞれ227%N,65%,147%N,59%)で,mild MRを 1 例にsevere TRをEbstein's anormalyを合併する症例に認めた.姑息術は 1 例にBTSを,non-confluent PAを合併した症例には段階的に両側BTS後,central PA plasty,RV-PA shuntを施行した.根治はdextrocardia,corrected TGAの症例 2 例にSenning + Rastelliを,corrected TGA,Ebstein's anormaly,TR(III)に対してSenning + Jateneを施行した.同時手術として僧帽弁形成術を 2 例に,右房化右室縫縮術および三尖弁輪形成術を 1 例に行った.術式の工夫:SVC,IVCの開口部は心房フラップをたるませて吻合し狭窄を回避する工夫をした.LA-LVのreroutingは自己心房組織のみで行った.平均手術時間606分,人工心肺時間318分,大動脈遮断時間151分,出血量166ml,術後房室ブロックは認めなかった.術後臨床経過は良好であった.術後心機能はおおむね良好であった(術後エコー:平均LVEDV,LVEFはそれぞれ137%N,49%).MRは認めなかったがEbstein's anormalyを合併した症例はTR moderateを認めた.CTでSVC,IVCから右室への還流はスムースでPVOも認めなかった.【結語】非特異的な合併心奇形を有する房室錯位症例に対しても,術式を工夫することで,DSOを行うことが可能であった.

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