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入院を要した成人先天性心疾患患者の検討
KKR名城病院小児循環器科
小島奈美子,小川貴久

【背景】内科および外科治療の成績向上に伴い,多くの先天性心疾患患者が成人に達することが可能となった.これら成人先天性心疾患患者(以下ACHD患者)の問題点は,原疾患に起因するものに加え,成人病,社会生活上の問題,精神心理問題など多岐にわたるといわれている.【目的】ACHD患者の入院頻度と入院理由,およびその転帰を明らかにすること.【対象】当院小児循環器科で現在フォロー中のACHD患者367名.【方法】367名中,2003年 4 月から2006年10月までの 3 年半の間に入院を要した31名56件につき,年齢,原疾患,入院回数,入院理由,治療,転帰について検討した.【結果】入院率は全体で8.4%,予定検査入院を除くと5.2%であった.原疾患は単心室 6 例,アイゼンメンジャー 3 例,そのほかTCPC術後なども含めさまざまであったが,チアノーゼ残存患者が 6 割以上を占めていた.多くの患者は一度のみの入院で済んでいるが,チアノーゼ残存患者においては複数回の入院を要していた.入院理由としては不整脈が最も多く心不全がそれに続き,この 2 つで 5 割を占めたが,残りの 5 割は心血管系以外にもさまざまで,各科に協力を依頼した.治療はDC,心不全療法,ペースメーカや弁置換術,脳膿瘍手術などを中心とし,検査入院以外の症例は全例何らかの処置を要した.転帰は41件が軽快退院,13件が不変,2 例が死亡であった.【まとめ】ACHD患者367名を対象に過去 3 年半の入院について検討した.特にチアノーゼ患者の不整脈や心不全をコントロールすることで入院率を下げることが可能であると思われた.しかし入院理由はそれ以外にも多岐にわたっており,他科の協力が不可欠であると思われる.

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