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PD-2-2 |
心房肺動脈吻合(APC)によるフォンタン手術の長期遠隔予後の検討 |
東北大学心臓血管外科1),宮城県立こども病院2)
崔 禎浩1),赤坂純逸1),増田信也1),河津 聡1),斎木佳克1),遠藤雅人2),田林晄一1) |
【目的】今回われわれの施設で経験した心房肺動脈吻合(APC)によるフォンタン施行例の長期遠隔成績を検討した.【対象および方法】1978年 3 月から1995年 1 月まで施行したフォンタン手術例15例(早期死亡を除く)を対象とし,さらに20年以上生存し,追跡可能であった 5 例に関し心機能,合併症,再手術,NYHA等につき検討を加えた.【結果】フォンタン手術時年齢は平均8.2歳(2.5~12.6歳)男 9,女 6 例,診断は三尖弁閉鎖症11例,単心室症 2 例,肺動脈閉鎖症 2 例であった.TCPC conversionを 7 例で施行した.初回手術からのconversionまでの期間は平均12.1年(2~26年)であった.術後中心静脈圧は18.8から13.8mmHgへ改善し,生存 6 例ではNYHAが術前平均3.0度から2.0度と改善した.また,術前心房細動,あるいは粗動を認めた 3 例中 2 例は洞調律に復帰した.術後経過では遠隔死を 5 例認めた.術後20年の生存率は66.8%,再手術回避率は51.9%であった.20年以上生存例ではTCPC conversion 3 例を行い,その理由として右房内血栓が原因と考えられた肺塞栓症が 1 例,conduit stenosisを含む吻合部狭窄が 2 例であった.術前の右房圧は平均18mmHgであった.これらの全例に対して心房縫縮術およびEPTFE人工血管を用いた心外型のTCPCを施行した.また,1 例にはPV isolationを施行した.5 例中 3 例に持続性心房細動,または粗動を認めた.非conversionの 2 例では経過中心房圧が15mmHg以下に保たれ,洞調律で経過した.最終観察時のNYHAは,1 例を除き 2 度以下であった.輸血後肝炎が原因と考えられた肝癌により,2 例を失った.【結語】初回APCを行ったフォンタン手術例のTCPC conversionによる再手術成績はほぼ満足すべきものであった.特に心房性頻拍に対しては,心房負荷軽減によりその治療に効果的に作用すると考えられた.20年以上の長期生存例では,経年的に再手術,不整脈,血栓症他の合併症頻度が増加する傾向にあり,注意が必要である. |
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