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C-III-14 |
小児におけるhead-up tilt試験の有用性および神経調節性失神に対するβブロッカーの効果 |
埼玉県立小児医療センター循環器科1),東京慈恵会医科大学小児科2)
星野健司1),小川 潔1),菱谷 隆1),豊田彰史1),齋藤亮太1),濱岡亜希子1),衛藤義勝2) |
【はじめに】失神患者は救急室を受診する患者の 3%を占めるといわれる.しかし循環器系・神経系の精査にもかかわらず診断率は約60%で,残りの約40%は原因不明とされる.head-up tilt試験は,自律神経系を介した低血圧や徐脈を呈する神経調節性失神の診断に有用である.今回われわれは,小児におけるhead-up tilt試験の有用性,および神経調節性失神に対するβブロッカーの治療効果について検討した.【対象】埼玉県立小児医療センター循環器科で,神経調節性失神を疑いhead-up tilt試験を行った14例を対象とした.14例の内訳は男児 8 名・女児 6 名で,失神既往のある児が11例,そのうち 9 例は複数回の失神があった.【方法】心電図(最低 3 誘導)・血圧計(1 分ごと)を準備し,静かな照明を落とした適温の部屋で,20~40分安静臥位とする.その後,60~80度の傾斜台で20~40分間の起立を行い,陰性の場合はISP負荷を(0.01~0.02μg/kg/min:心拍数を20~30%増加)行った.意識消失or自覚症状を伴う血圧・心拍数の低下がある場合に陽性と診断した.【経過】14例中 9 例が陽性,5 例が陰性であった.陽性であった 9 例の内訳は男児 5 名・女児 4 名で,6 例はmixed type,1 例はcardiac type,2 例はtype不明であった.また 1 例は失神既往がない症例であった.陽性であった 9 例中 8 例にβブロッカーの投与を行い,5 例が有効(著効例が多かった)3 例は無効であった.無効であった 3 例中 2 例はβブロッカー開始後 3 週間以内に再試験を行った症例,1 例はめまいが増強して内服を中止した.【まとめ】原因不明の失神発作の患児で,head-up tilt試験の陽性率は9/14(64%)と高率であった.治療ではβブロッカーが著効する場合もあり,原因不明の失神発作に対して,head-up tilt試験は有用と考えられた. |
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