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C-III-15 |
新生児期,乳児期に施行した高度肺動脈弁狭窄(PS)に対するバルーン肺動脈弁形成術(PTPV) |
兵庫県立こども病院循環器科
齋木宏文,鄭 輝男,城戸佐知子,田中敏克,藤田秀樹,井出健太郎,富永健太 |
【目的】新生児期乳児期に発症する高度肺動脈弁狭窄症における肺動脈弁はさまざまな程度の異形成性をもつ.症例ごとにPTPVの有効性を検討し,治療選択に寄与することを目的とする.【対象と方法】当科で1997~2006年に経験した他の心疾患合併のない肺動脈弁狭窄(critical PS,PAIVSを除く)に対するPTPVは76例.先天奇形症候群や肺高血圧症を伴わず,乳児期までに右室圧上昇(全身麻酔下RVp/LVp > 0.8)を認め,PTPVを施行した21例を対象.造影の弁性状から治療効果を検討.バルーンは弁輪径の1.2~1.5倍を目安に選択.【結果】(1)doming,(2)狭窄後拡張,(3)中等度以上の拡張期弁肥厚がない,の該当項目で分類.A(弁性狭窄):3 項目を満たす,B(境界):(2)もしくは(3)のいずれかがない,C(異形成弁疑い):(1)~(3)を満たさない.D(砂時計型):(1)(2)を満たすが弁直上狭窄.A(n = 3)/B(n = 11)/C(n = 4)/D(n = 3):圧較差75 ± 13/70 ± 20/74 ± 5/93 ± 21mmHg,弁輪径88 ± 11/78 ± 6/78 ± 9/95 ± 10%,バルーン/弁輪径比128 ± 5/141 ± 1/132 ± 17/138 ± 18%,全身麻酔下前(後)RVp/LVp比1.25 ± 0.36(0.57 ± 0.15)/1.14 ± 0.36(0.48 ± 0.07)/1.16 ± 0.20(0.61 ± 0.07)/0.95 ± 0.07(0.95 ± 0.10),狭小弁輪(Z value -2S.D.未満)症例数(%)0(0%)/6(56%)/2(50%)/0(0%)例,弁上部と弁輪の症例ごとZ value差(S.D.)+0.5~+2.1/ -0.9~+2.2/ -0.9~+1.1/ -5.1~ -3.0,外科手術症例数 0/0/0/3 例(追跡平均56.5カ月,0~115).【考察】A/B/C群はPTPVにより右室減圧でき外科手術を回避し得た.B/C群は狭小弁輪の頻度が高いがA群と比較し同様の減圧が得られ,また異形成弁が疑われるC群もA群と比較し遜色ない減圧が得られた.一方,D群は従来の報告どおり全く効果がなかった.【結論】新生児/乳児期に施行する高度肺動脈弁狭窄では異形成性があっても減圧,手術回避に効果が期待できる.ただし砂時計型異形成弁には効果がない. |
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