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C-III-18 |
右室-肺動脈シャントに対するカテーテル治療の役割 |
山梨大学小児科
杉山 央,星合美奈子,内藤 敦,角野敏恵,杉山 剛,喜瀬広亮 |
【目的】最近,左心低形成症候群等の重度心不全を伴う複雑心疾患に対して,Blalock-Taussigシャントの代わりに右室-肺動脈シャント(RV-PAシャント)を用いることが多くなっているが,比較的早期にシャント狭窄が起きることが多い.RV-PAシャントに対して欧米ではステント留置も試みられているが,長期の開存性が課題となっている.今回,RV-PAシャントに対するバルーン血管形成術(BA)の効果について検討した.【対象】8 例15手技の計36病変に対してBAを行った.診断はHLHS 3 例,単心室 5 例,体重は3.6 ± 1.2kg,RV-PAシャントからの期間は55~291日.使用バルーンは 5mmの人工血管には 6mm × 2cmを4mmの人工血管には 5mm × 2cmを選択した.【結果】右室-シャント吻合部狭窄(n = 13)では最小血管径(MLD)は3.3 ± 1.1mm(正面像)/2.7 ± 0.8mm(側面像)から4.1 ± 0.8mmc(正面像)/3.4 ± 0.4mm(側面像)に拡大した.シャント内狭窄(n = 4)ではMLDは2.0 ± 0.1mm(正面像)/2.1 ± 0.2mm(側面像)から3.2 ± 0.8mm(正面像)/3.3 ± 0.2mm(側面像)に拡大した.シャント-肺動脈吻合部狭窄(n = 10)ではMLDは3.1 ± 0.7mm(正面像)/2.8 ± 0.6mm(側面像)から4.0 ± 0.7mm(正面像)/3.6 ± 0.5mm(側面像)に拡大した.SpO2は63 ± 7%から73 ± 7%に有意に増加した.手技に関連する合併症は認められなかった.【結語】右室-シャント吻合部は胸壁と心室により前後で圧迫されるために前後に狭窄が出現し頻度も最も多い(36%).シャント内狭窄,シャント-肺動脈吻合部狭窄は正面,側面で差がなくびまん性に狭窄していた.一方,右室-シャント吻合部狭窄の断面形態は楕円でありBAにより円形になることが示された.RV-PAシャントに対するBAは安全で効果的である. |
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