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I-S3-4 |
胎児期にみられた体心室房室弁逆流の出生後転帰についての検討 |
埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科1),埼玉医科大学産婦人科2)
竹田 津未生1),岡田 尚子1),岩本 洋一1),石戸 博隆1),増谷 聡1),先崎 秀明1),小林 俊樹1),板倉 敦夫2) |
肺循環側の房室弁逆流では出生後に肺血管抵抗の低下とともに後負荷が軽減し,肺低形成を伴わない例では逆流の程度が軽くなることが知られている.反して,体心室の房室弁逆流では,血管抵抗が低く胎児期に後負荷軽減に寄与していた胎盤を失うことにより,出生後急速な後負荷の増加が生じ逆流が増強する可能性があると思われる.胎児期にみられた体心室房室弁逆流の出生後転帰について検討した.【方法】対象は2002年以降,埼玉医科大学病院にて胎児心エコー検査を施行した胎児のうち,胎児期に体心室房室弁逆流のみられた25例.受診時週数19~39週.単心室14例,AVSD 7 例,AVSD + 肺動脈閉鎖 2 例,その他 2 例で,3 例が妊娠中絶,1 例が転院,1 例が子宮内胎児死亡となった.残る20例につき,胎児期房室弁逆流の重症度(Sellers分類に準じて 1~4 度に分類)別に出生後転帰を検討した.【結果】1 度の房室弁逆流がみられたものは10例で,うち出生後に逆流の消失したものはないが,全例出生後の房室弁逆流は 1~2 度の比較的軽度で経過し,逆流に対する外科的介入を要したものもなかった.2 度の房室弁逆流は 5 例でみられ,1 例のみ 2 度のまま無症状で経過したが,2 例は出生後まもなく 3 度の逆流となり,うち18トリソミー合併の 1 例は日齢 3 に死亡,1 例は現在手術待機中である.残る 2 例は経過中に弁形成術を要した.3 度以上の逆流がみられた 5 例中,2 例は生後数時間で循環が成り立たず死亡,13トリソミーの 1 例は外科的介入不可のまま生後 1 週間で死亡,2 例で循環不全のため出生早期に外科的介入を行ったが,救命できなかった.胎児期に胎児水腫に至ったのは 4 度の逆流がみられた 1 例のみであった.【結語】体心室房室弁逆流は胎児期に中等度以上となるものではほとんど出生後増悪し,外科的介入を要すものも少なくない.3 度以上のものでは胎児期に胎児水腫を来していない場合でもごく早期の形成術が必要であったり,救命できない症例も多かった. |
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