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I-B-2 |
IVC-PA direct anastomosisによるextracardiac TCPCの凝固線溶系の異常 |
聖隷浜松病院小児循環器科1),心臓血管外科2)
武田 紹1),中嶌八隅1),渕上 泰2),梅原伸大2),渡邊一正2),國井佳文2),小出昌秋2) |
【はじめに】凝固線溶系の異常に関してはフォンタン循環による血管内皮障害をはじめとする血行動態上の問題が重要視されているが,解剖学的危険因子の検討もされるべきとの意見もある.凝固能亢進にAPCにおける拡大した右房やTCPCにおける人工血管の関連がないという結論はでていない.そこでわれわれはIVC-PA direct anastomosisによるextracardiac TCPCの凝固線溶系について検査を行った.【対象】2002~2007年に当院で手術した症例のうち定期的な経過観察が可能であった 5 例を対象とした.全例でアスピリンのみ内服していた.【結果】年齢mean 5Y3M,range(3Y9M~6Y8M),男:女 = 4:1,術後年数 4Y0M(2Y8M~5Y6M),CVP 13(9~15),CI 3.3(3.1~3.7),BNP(pg/ml)8.7(4.9~15.2),PT(%)86(73~96),APTT(sec)32.4(29.6~36.8),fibrinogen(mg/dl)263(236~331),HPT(%)81(70~87),d-dimer(μ/ml)0.3(0.1~0.4),AT3(%)102(89~102),plasminogen(%)97(89~102),TAT(μ/l)2.0(1~2.9),thrombomodurin(FU/ml)3.4(3.3~3.5),protein C activity(%)100(87~120),protein S activity(%)97(62~121),すべての症例で血栓はなく肝機能は正常であった.【考察】今回の結果では以前に報告されているようなPT,HPT,plasminogen,TAT,thrombomodurin,protein C activityに明らかな異常は認めなかった.人工物を使用せず,より静脈うっ滞の少ないIVC-PA direct anastomosisによるextracardiac TCPCは凝固異常も軽微である可能性が示唆された.今後症例を蓄積しての再検討が必要であると考えられた. |
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