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I-B-13 |
学校心臓検診(小中学生)におけるQT時間延長者の適切な抽出に向けた努力 |
福岡市立こども病院・感染症センター循環器科1),福岡県メディカルセンター2)
牛ノ濱大也1),石川司朗1),佐川浩一1),中村 真1),石川友一1),本田 悳2),山本愛文2) |
【背景・目的】2004年度まで福岡では,QT延長の抽出基準として,HRを加味したRR平方根補正式QTc(B)= QT√RRにより,HR ≦ 75/分(以下,単位略)かつQTc(B) ≧ 0.450,またはHR > 75かつQTc(B) ≧ 0.500を有意(B法)とし,コンピュータ自動判読と目視判読を行ってきた.しかし,2003年にB法を満たさず心室細動を生じたQT延長症候群女児(HR81,QTc(B)= 0.497)を経験したため,現在はHRを加味しないRR三乗根補正のQTc(F)= QT/3√33 ≧ 0.450(F法)と併用している.今回,両基準併用による抽出者数を上記のB法のみと比較した.【現在の判定基準】B法とF法の併用はB法のみに比べて抽出範囲が変化する.拡大範囲は,A:HR ≦ 75でQTc(B)< 0.450かつQTc(F) ≧ 0.450およびB:75 < HRでQTc(B)< 0.500かつQTc(F) ≧ 0.450,逆に縮小範囲はC:HR ≦ 75でQTc(B) ≧ 0.450かつQTc(F)< 0.450,およびD:75 < HRでQTc(B) ≧ 0.500かつQTc(F)< 0.450となる.【対象】福岡県メディカルセンターが実施した2007年度心臓検診を受診した児童・生徒30,084名(小学生/中学生 = 14,034/16,054)のうち以下を除外した小学生11,621名(男5,760名,女5,861名),中学生13,842名(男6,726名,女7,116名)を対象とした.除外者はQT時間,RR時間に影響する可能性のある洞房ブロック,2 度以上の房室ブロック,房室解離,洞性不整脈,WPW症候群および期外収縮の有所見者とした.【結果:有所見者数】A:6 名,B:12名,C:55名,D:0 名が含まれていた.F法のみでは,B法における有所見者55名(小学生13名,中学生42名:Cに包含)が無所見と判定されることになったが,併用基準ではB法の18名増にとどまった.【考案】B法の抽出範囲を削減する根拠はいまだなく,F法と併用した基準は抽出者の微増にとどまり,かつB法で抽出できない範囲も包含する.今後もQT延長症候群による不幸な事象阻止に向け,地道な判定基準の見直しを継続することが必要である. |
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