![]() ![]() |
I-B-14 |
EASI誘導心電図による学校心臓検診についての検討 |
埼玉県立小児医療センター循環器科
小川 潔,河内貞貴,菅本健司,菱谷 隆,星野健司 |
【目的】標準12誘導心電図は10カ所に電極を装着する必要があり時間とコストがかかる.特に学校心臓検診では限られた時間内に心電図記録を行わなければならないため,省略 4 誘導心電図 + 心音図検査か標準12誘導心電図検査を行っているのが現状である.しかし,省略 4 誘導心電図ではT波の異常などの診断において問題があり,12誘導心電図が理想である.EASI誘導心電図は 4 カ所に電極を装着して12誘導心電図を導き出すもので,標準12誘導心電図との相関は良好であると報告されている.標準12誘導心電図に代わるものではないが,省略 4 誘導心電図の代わりにEASI誘導心電図を行うことが診断に有用ではないかと考えられる.【方法】小児を対象に標準12誘導心電図とEASI誘導心電図を同時に記録し比較検討した.EASI誘導心電図はPhilips社製IntelliVue MP50を用いて計測しプリンターへ出力した.p vector,QRS電気軸,aVF誘導のq波高,V1誘導のRおよびS波高,不完全右脚ブロックの診断,V6誘導のq,R,S波高,V1~V6のT波の形態について検討した.対象は小児134例.【成績】p vectorは12%,QRS電気軸は13%で一致しなかった.aVF誘導のq波高は相関が認められた(r = 0.58,p < 0.001)が,EASI誘導で波高が高い傾向があり,17例で0.5mVを超えてしまっていた.V1誘導のR波高の相関係数は0.54,S波高では相関が認められなかった.波高が増加すると誤差が大きくなっていた.不完全右脚ブロックの診断は良好であった.V6誘導のq波高の相関係数は0.55,R波高は0.43,S波高は0.56であった.胸部誘導のT波は36%で不一致が認められた.心房中隔欠損におけるV4誘導の孤立性陰性T波はEASI誘導心電図では反映されていなかった.WPW症候群では 5 例中 1 例で検出できなかった.【結論】EASI誘導心電図は簡便で標準12誘導心電図とよく似た波形となるが,従来報告されているほど正確ではなく学校心臓検診に用いることは難しいと考えられる. |
![]() |
閉じる |