I-B-31
小児重症患者のスコアリングシステムの小児先天性心疾患患者でのvalidation;PIM,PRISM,PELODを用いて
岡山大学病院麻酔科蘇生科1),循環器疾患治療部2),小児科3)
戸田雄一郎1),岩崎達雄1),清水一好1),金澤伴幸1),森田 潔1),鈴木 聡1),赤木禎治2),佐野俊二2),笠原真悟2),大月審一3),岡本吉生3)

【背景】小児集中治療室(PICU)では,患者の重症度評価,予後予測にPIM,PRISMなどのスコアリングシステムを取り入れている.小児心疾患の管理はPICUのなかでも特殊であるが,これらのスコアは呼吸器疾患や血液腫瘍など心疾患も含めたすべての患者を対象としている.心疾患患者のみの集中治療においてもこれらのスコアが有効か,またどのスコアが最も優れているかはあまり研究されていない.【目的】小児心疾患のみのICUでのこれらのスコアリングは有用かどのスコアリングが最も優れているかを検討する.【方法】retrospective chart review.2004年の小児心疾患集中治療室(PCCU)入室患者を対象とし,術後のみならず心不全の悪化など内科的要因の患者も含めた.心臓カテーテル検査後など回復室扱いにてPCCUに入室した患者は除外した.後方視的にPIM,PIM2,PRISM,PELODに必要な項目を収集し,スコアから予測死亡率を計算し実際のPCCU死亡との関連をみた.【結果】205名の入室患者のうち 5 名の死亡例があった(死亡率2.4%).各スコアリングシステムによる予測死亡率はPIM 5.4%,PIM2は8.6%,PRISM 11.6%,PELOD 5.6%で,予測死亡人数はそれぞれ11.1人,17.6人,23.8人,11.5人であった.PIMおよびPELODと,PIM2およびPRISMの間に有意な差を認めた.PCCU死亡に対する各スコアのROC曲線のAUCは0.84,0.91,0.94,0.98であった.【結論】どのスコアも心臓疾患のみを対象にしても良好な適応であったが,死亡を過大予測する傾向にあった.全体ではPELODが最も優れていた.

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