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I-C-13 |
一酸化窒素(NO)抵抗性新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)の治療—epoprostenol,sildenafilの有効性に関する検討 |
近畿大学医学部奈良病院小児科
三崎泰志,嶋尾綾子,武野 亨,樋口嘉久,吉林宗夫 |
【背景】PPHNに対するNO吸入は極めて有効であるが一部無効で治療に苦慮する症例も存在する.【目的】当科で経験したPPHNの治療とその効果について後方視的に検討する.【結果】最近 2 年間に 6 例のPPHNを経験した.全例で挿管・HFO管理,高濃度酸素投与に加えNO吸入(最大20ppm)で治療開始した.6 例中 4 例ではNO吸入開始後速やかに呼吸状態は改善し肺高血圧(PH)は軽快し,以後無投薬でPH再発はない.6 例中 2 例ではNO吸入は無効であった.NO無効 2 例の詳細は,症例 1:Down,ASD,small PDA合併.NO吸入に加えepoprostenol(4ng/kg/min)を開始したところPHは消失した.その後無投薬でフォローされたが生後 7 カ月時にPHが再増悪し(Qp/Qs = 1.6,Rp = 8.9Um2),在宅酸素療法(HOT)とberaprost Na内服にて経過観察中.症例 2:乳び胸水合併あり.合併心疾患なし.胸部CTでは明らかな所見は認められなかった.NO吸入に加えてepoprostenolを58ng/kg/minまで増量したがPHは軽快せず.さらにsildenafil(1mg/kg/day)投与を追加したところPHは消失し,epoprostenol,NO,酸素は減量中止した.生後 2 カ月時にsildenafilを減量したところPHの再増悪を認め,以後HOTとsildenafil増量(0.6mg/kg/day)で経過観察中である.【結語】NO吸入療法に抵抗性のPPHNに対して,epoprostenolやsildenafilが有効であることが示された.しかし重症例ではPHが残存・長期化することも多く,注意深い経過観察が必要と考えられた. |
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