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I-D-13 |
川崎病における血管炎バイオマーカーPTX3のγグロブリン治療による変動 |
日本医科大学小児科
勝部康弘,阿部正徳,上砂光裕,深澤隆治,小川俊一 |
【背景】川崎病の病態は中小動脈の血管炎であり,合併症として冠動脈にみられるような血管病変を来す.ペントラキシン 3(PTX3)はロングペントラキシンファミリーの一つで炎症刺激により局所で産生され,血管関連ペントラキシンと呼ばれている.最近このPTX3を用い血管病変を評価しようとする試みが行われ,血管病変の早期発見,重症度評価,予後評価など多方面にわたりその応用が試みられている.【目的】川崎病において,血管炎のバイオマーカーであるPTX3の冠動脈病変の予測因子,γグロブリン(c-G)不応例の予測因子としての可能性を探ること.【方法】対象は川崎病と診断された10例(平均 2 歳 7 カ月).c-G投与量は全例 2g/kgで行った.採血検査はc-G投与前,終了 2~3 日後,退院時ならびに発症 1 カ月後に行った.PTX3の測定は血漿を用い,ELISA法で行った.【結果】各測定ポイントでのPTX3の値はそれぞれ28.9±6.5,13.8±2.2,6.9±1.4,4.9±0.6ng/mlであった.c-G治療に対する反応別に分けると,反応例(8 例)の平均値(c-G治療前)は20.5ng/mlであったのに対し,不応例(2 例)は63.0ng/mlであった.なお,今回検討した症例には冠動脈病変を来した症例は含まれていない.【まとめ】(1)川崎病急性期において血管炎のバイオマーカーといわれるPTX3は著しく高値を示した.(2)c-G治療不応例は反応例に比べ著しく高値を示していた.(3)c-G治療によりPTX3 値は速やかに低下したが,発症 1 カ月後でも成人正常値(2ng/ml)に比し高値を示しており,血管の炎症が続いている可能性が示唆された.(4)今回検討した症例には冠動脈病変合併例が含まれておらず,今後さらに症例を重ね,冠動脈病変合併の予測因子としての可能性について検討する. |
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