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I-D-18 |
川崎病初期治療における好中球エラスターゼ阻害剤の選択に関する検討 |
金沢医科大学小児科
秋田千里,北岡千佳,小林あずさ,中村常之 |
【背景】近年,ウリナスタチン(UTI)以外の好中球エラスターゼ阻害剤(NE剤)として,シベレスタットナトリウム水和物(SSH)が川崎病の治療薬として注目されている.しかしながら,NE剤 2 剤に関する優劣,使用の使い分け等に関する臨床検討はない.【目的】川崎病初期治療におけるUTI,SSH使用例に関して,臨床症状,検査データの比較検討する.【対象,投与法】当院に川崎病の診断にて入院し,初期治療としてNE剤を使用した患児29名を対象とした.UTI群(U群)はUTI 5,000単位/kg×6 回/日を病初期より投与した.解熱24時間後に5,000単位/kg×3 回/日に減量し,3 日間投与し中止した.SSH投与群(S群)は病初期よりSSH 0.2mg/kg/hrの持続投与で開始した.解熱し,血液検査所見に改善が認められた時点で中止とした.患者は,U群18例,S群11例であった.不応例はU群 1 例,S群 1 例,冠動脈障害はU群 7 例,S群 3 例に認めた.平均月齢は,U群31.2,S群30.3であった.【結果】〈有害事象〉両群に薬剤によると思われる有害事象は認めなかった.〈臨床検査(すべて平均値)〉CRP(mg/dl).U群:入院時は8.2,投与翌日は8.4.S群:入院時は11.0,投与翌日は11.0.アルブミン値(mg/dl)U群:入院時は3.4,投与翌日は3.1,S群:入院時は3.4,翌日3.0.AST(U/l)U群:入院時91.2,投与翌日72.4,S群:入院時48.8,投与翌日34.6.〈入院期間(平均日数)〉U群12.9日,S群11.2日.〈有熱期間(平均日数)〉治療開始から解熱までU群3.8日,S群3.1日.〈冠動脈障害の頻度〉U群38.8%,S群27.2%.〈不応例の頻度〉U群 5%,S群 9%.【結語】解熱を治療効果判定のエンドポイントとした場合,SSHのほうが川崎病初期治療として有効である可能性を示唆した. |
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