I-D-19
川崎病における血小板活性化の動態—血小板由来マイクロパーティクルからの検討
京都府立医科大学大学院医学研究科小児循環器・腎臓病学1),京都第一赤十字病院小児科2),済生会京都府病院小児科3)
八幡倫代1),二星あゆみ1),濱岡亜希子1),藤井麻衣子1),小澤誠一郎1),木崎善郎2),中島浩司3),浜岡建城1)

【背景】川崎病では急性期の全身の血管炎に伴い,また冠動脈障害を残した遠隔期症例では長期にわたり,血小板活性化がみられるとされているが,その動態はいまだ不明な点が多く残されている.近年成人の血栓性疾患領域において血小板活性化マーカーとして血小板由来マイクロパーティクル(PDMP)の有用性が報告されている.今回,われわれは川崎病における血小板活性化の動態を評価するため,PDMPをELISA法で測定した.【方法】急性期13例,遠隔期37例を対象とし,急性期例では治療開始前,c投与後 2 日,投与後10~14日のPDMP,CRP,PLTについて検討した.遠隔期例では,(1)瘤(+)群:(‐)群(n=28:9)(2)瘤(+)群のうち抗血小板薬の種類(無投薬群:アスピリン単独群:他剤併用群 = 3:10:14)でPDMPについて検討した.【結果】急性期では治療開始前,c投与後 2 日,投与後10~14日のPDMP(U/ml/PLT 104)はそれぞれ1.35±1.09,0.99±0.87,0.60±0.41で,治療開始前とc投与後 2 日では有意差を認め(p = 0.02),また治療開始前と投与後10~14日でも有意に低下がみられた(Wilcoxon signed-ranks test).PDMPはCRPやPLTと相関がみられなかった.遠隔期では(1)瘤(+)群と(‐)群間で有意差あり(p = 0.004)(2)瘤(+)群のうち無投薬群,アスピリン単独群,他剤併用群の 3 群間で有意差はみられなかった.【結論】PDMPは急性期における血管炎の動態を評価するための臨床指標として,また慢性期における冠動脈病変の存在を示唆する指標として有用と考えられ,抗血小板療法は川崎病における治療戦略として臨床上重要であることが示された.

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