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I-D-23 |
ターナー症候群における大動脈起始部拡大の検討 |
東京都立清瀬小児病院循環器科
松岡 恵,三浦 大,永沼 卓,知念詩乃,河野一樹,大木寛生,葭葉茂樹,佐藤正昭 |
【目的】ターナー症候群(TS)は大動脈解離・破裂から突然死を来す危険性があることが知られているが,わが国の循環器科医には十分認知されていない.今回,心エコー(UCG)とMRI検査を用いてTSの大動脈起始部拡大について検討した.【方法】TSの27例(13~36歳)を対象に,UCG(26例)とMRI(18例)を行い,通常の検査に加えバルサルバ洞径(Val)と上行大動脈径(Asc)の拡大の有無を検討した.従来の正常値の報告をもとに,mean + 1SD以上を軽度拡大,+2SD以上を高度拡大とした.【成績】(1)心疾患の合併:大動脈縮窄 2 例,大動脈二尖弁 2 例(うち 1 例は大動脈弁閉鎖不全),大動脈弁下部狭窄兼閉鎖不全 1 例を認めた.このうち 2 例はMRIで初めて診断された.(2)UCG上のValとAscの拡大:Valの拡大を 8 例(31%;2.0cm/m2以上の軽度 3 例,2.1cm/m2以上の高度 5 例),Ascの拡大を 6 例(23%;1.7cm/m2以上の軽度 4 例,1.9cm/m2以上の高度 2 例)に認めた.(3)MRI上のAscの拡大:体表面積による補正値で 4 例(22%;1.86cm/m2以上の軽度 4 例,2.02cm/m2以上の高度 0 例),Asc/Desの比で 4 例(22%;1.44以上の軽度 2 例,1.54以上の高度 2 例)に認めた.UCGでは大動脈弓の描出ができなかった 4 例も,全例MRIでは観察可能であった.(4)大動脈起始部拡大例の検討:UCGまたはMRIで拡大を認めた12例(44%)のうち,心疾患合併例は 3 例のみであった.大動脈弁下部狭窄の 1 例(13歳)以外は全例19歳以上であった.大動脈解離を来した例はなかった.【結論】TSの成人例では,心疾患の合併がなくても大動脈起始部の拡大に注意が必要である.UCGだけでは心疾患や大動脈起始部の評価が困難な場合があるので,MRIも併用するべきである.拡大が進行する場合は,Marfan症候群に準じβ遮断薬などの投与を考慮したほうがよい. |
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