I-E-18
新生児心エコースクリーニングについて
浜松医科大学小児学教室
岩島 覚,石川貴充,大関武彦

【はじめに】先天性心疾患(CHD)のスクリーニング法は胎児心エコー,出生後の経皮酸素モニターチェックなどさまざまな方法があるが,おのおのの方法には利点,欠点が存在する.われわれは新生児心エコースクリーニングを行ったので報告する.【対象,方法】対象は2005年 3 月から2008年 1 月までに当院にて出生しNICU入院外の712例の新生児.最終的に手術適応となり得るCHDを陽性例,それ以外を陰性例(4mm以下の心房間交通を含む)とした.再検査にて閉鎖の確認されたPDA,muscular small VSD,およびsilent MR例は偽陽性例,スクリーニングにて発見されなかったCHD例を偽陰性例とした.検査時日齢2.7±1.0日.検査は小児循環器医 2 名が行った.【結果】平均検査時間は約 5 分,レポート作成に 5~10分程度要した.672例が陰性.陽性例はDORV(Taussig Bing奇形)1 例,Truncus 1 例など計 8 例(1.1%),偽陽性例はsilent MR 7 例,PDA 17例,small VSD 8 例の計32例で合計40例(約5.6%)がスクリーニングされた.陽性反応的中率20%で感度100%,特異度95.4%であった.同時期に胎児エコーにて胎児不整脈以外のCHDを疑われた症例は14例,分娩後CHDが確認された症例は 8 例,2 例(HLHS,TGA)が胎児エコーにてスクリーニングされずNICU入院中にCHDが判明した.胎児エコースクリーニングによる感度は61.5%で特異度は99.4%であった.【まとめ】新生児心エコースクリーニングは感度,特異度も高くスクリーニングとしては有用と思われる.小児循環器医による胎児心エコー,新生児心エコーによるスクリーニングが理想的ではあるが,現在では他の検査と比し時間を要する,人的資源(小児循環器医の数的問題),偽陽性率が高いなどの問題があり,経皮酸素モニターの導入などの心エコー検査前段階のスクリーニングの導入も検討されるべきと思われた.

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