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I-E-21 |
胎児期から乳児期に発症した心房粗動(AFL),多源性心房頻発(MAT)の臨床像 |
大阪大学大学院医学系研究科小児科
吉田葉子,小垣滋豊,岡田陽子,那須野明香,内川俊毅,成田 淳,市森裕章,石田秀和,大薗恵一 |
【はじめに】胎児期から乳児期に発症するAFLやMATはまれであるが潜在的致死的不整脈である.本邦における複数症例の報告は少ない.当施設の症例について診断・治療・予後を後方視的に検討した.【対象】1996~2007年の間に当施設で胎児期から 1 歳までに診断したAFL 5 例,MAT 2 例.合併疾患あり 4 例:頸部胸部リンパ管腫術後 1,総肺静脈還流異常術後 1,重症Ebstein奇形 1,Noonan症候群 1.男児 6 名.経過観察中央値44カ月.【結果】(1)発症時期:胎児期発症AFL 1 例,MAT 1 例.生後 1 週間まではAFL 1 例,それ以降の発症はすべて合併疾患あり.リンパ管腫とNoonan症候群合併例は難治性胸水化学治療中に発症していた.(2)治療:妊娠後期に腔水症を発症した 2 例は胎児治療施行.母体薬物内服(ジゴキシン(D)+ ソタロール,D + フレカニド)により心室レートコントロールで腔水症改善し満期分娩に至った.MAT 1 例を除き電気的除細動 1~1.5J/kgを行ったが,MAT症例とリンパ管腫合併AFL症例で無効.除細動無効のAFL症例はD(0.01mg/kg/d)開始後に洞調律に復した.MAT症例 2 例はD(0.01mg/kg/d)+ プロプラノロール(P)(1~3mg/kg/d)で心室レートコントロールを行った.(3)予後:AFLでは全例再発を認めなかった.重症Ebstein合併の 1 例が生後 1 カ月で心不全死した以外は生命予後良好で,1 歳以降の抗不整脈薬投薬もなかった.MAT 2 症例は経過観察中洞調律へ回復せず.1 例は 5 カ月時BNP 66pg/mlと軽度上昇を認めD + Pに加え利尿剤開始,8 カ月時ACE阻害剤を追加しBNP上昇はみられていない.もう 1 例はDを25カ月で中止しP 1mg/kg/dのみで管理できている.【まとめ】胎児期から乳児期発症のAFLは多くの例で電気的除細動が有効で,一度洞調律に復すれば再発がなかった.MATは自験例においては乳児期以降も自然軽快がみられていないが心室レートコンロトールにより頻脈発作や心不全症状なく管理可能であった. |
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