I-E-28
肺高血圧患者における心肺運動負荷試験と血行動態指標の評価
国立循環器病センター小児循環器診療部
高田秀実,大内秀雄,石原温子,鳥越 司,山本雅樹,吉敷香菜子,則武加奈恵,渡辺健一,脇坂裕子,山田 修

【背景】肺高血圧(PAH)では運動耐容能が低下し,心肺運動負荷試験(CPX)はPAHの病態把握,予後評価に有用とされている.【目的】PAH患者におけるCPXから得られた心肺諸指標と心臓カテーテル検査(心カテ)から得られた肺循環動態の関連を明らかにする.【対象,方法】当センターでの治療開始前にCPXおよび心カテが施行された原発性肺高血圧14例(I 群),Eisenmenger症候群 6(E群),先天性心疾患術後残存肺高血圧群 7 例(OP群)の計27例(男性11人,14.9±7.8歳)であった.CPX関連指標である運動時間(ET:min),最高酸素摂取量(pVO2:ml/kg/min),換気効率(pVE/VCO2),最大心拍数(pHR:/min),最大収縮期血圧(pSBP:mmHg)と心カテによる肺循環動態〔酸素動脈飽和度(SaO2),平均肺動脈圧(mPAP),肺血管抵抗(Rp)〕の関連を検討した.【結果】全体の解析では心血管応答はpHRが163±20.1,pSBPが139±19.8と応答不良を示し,ETは4.7±2.4,pVO2は20.1±7.8と運動能は低下し,pVE/VCO2は55.6±17.5と高く,換気効率は低下していた.pHRはpVO2と相関せず,SaO2と正相関し,pVO2はpSBPと正相関(r = 0.5,p < 0.01),pVE/VCO2と負相関を示した(r = 0.49,p = 0.01).PAH全体のRpは20.7±16.7で,pVO2と負相関を示した(r = -0.56,p = 0.003).I 群,op群ではともにpVO2とRpに関連を認めたが(おのおの,r = 0.58,r = 0.89,p < 0.05),E群では関連がなかった.【結論】運動時の血圧上昇不良と換気効率低下が運動能と関連する.また,心内短絡のないPAHではRpは運動耐容能と密接に関連するが,E群では関連しない.

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