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学校内で心室細動を来しBLSとAEDにより救命された非閉塞性肥大型心筋症の 1 例
旭川医科大学小児科
真鍋 博美,杉本 昌也,梶野 浩樹,藤枝 憲二

【背景】近年一般市民向けにも自動体外式除細動器(AED)の使用法も含めた一次救命処置(BLS)の講習が広く行われるようになった.またAEDが設置されている学校も多くなり学校管理下での心臓突然死の防止が期待されている.今回われわれは学校内で心室細動を来しBLSとAEDにより救命された非閉塞性肥大型心筋症の中学 1 年生を経験したので報告する.【症例】13歳女児.6 歳で心拡大を指摘され非閉塞性肥大型心筋症と診断された.これまで不整脈や失神の既往はなくまた無症状であったために運動制限のみで外来経過観察されていた.2007年12月,正午ごろに学校内で突然,転倒失神した.その直前の運動の有無は不明である.ただちに駆けつけた教員がBLSを施行,8 分後に救急隊が到着,AEDにより心室細動と判明し200Jの放電を行い,間もなく洞調律に回復した(心電図記録呈示).校内にはAEDが設置されていたが教員はその使用に踏み切れなかった.患児は失神から25分後に病院へ搬送された.受診時JCS 300であったが循環動態は安定しており呼吸管理も不要だった.失神から約 6 時間後には会話もでき意識清明となった.また神経学的後遺症は残らなかった.その後患児はICD植込み術を受け,bisoprololとenalaprilの内服を開始し退院した.【結語】肥大型非閉塞性心筋症をもち心室細動により学校内で失神した中学生がBLSとAEDにより神経学的後遺症を残すことなく回復した.今回の経験から教育関係者へのBLSトレーニングの有用性を再認識したとともに医療関係者以外の人がAEDを使用することの難しさを痛感した.

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