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家庭用AEDを導入した(予定している)致死性心室性不整脈の 2 乳幼児例
高知大学医学部小児思春期医学教室1),高知県立幡多けんみん病院小児科2),大西病院小児科3)
高杉 尚志1),矢野 哲也1),玉城 渉1),臼井 大介1),倉繁 款子1),松下 憲司1),堂野 純孝1),藤枝 幹也1),脇口 宏1),尾崎 明子2),浜渦 正司3)

【はじめに】一般市民のAEDに対する認識が急速に高くなり,最近では,AEDを個人購入あるいはレンタルできるようになった.一方,埋込み型除細動器(ICD)の使用も低年齢化してきているものの,乳幼児においては問題点も多い.今回,われわれは,致死性不整脈乳幼児例を 2 例経験し,家族に対してAEDトレーナーを用いた小児BLS講習後に,レンタルで家庭用AEDを導入したので,治療経過を含めて報告する.【症例 1】1 歳 5 カ月女児.家族歴に特記すべきことなし.2007年 8 月(1 歳 0 カ月)に心室頻拍を主訴に紹介入院となった.発作時心拍数300/分で,血圧低下,意識障害を伴う心室頻拍が頻発した.βブロッカーにアミオダロン内服を追加し,発作のコントロールが可能となった.両親にAEDトレーナーを用いた小児BLSの講習を行い,退院後,家庭用AEDをレンタルで自宅に設置していただいた.【症例 2】8 カ月男児.家族歴に特記すべきことなし.妊娠中に胎児不整脈を指摘され,2007年 5 月に出生.出生後の心電図モニター上,torsade de pointesが頻発した.メキシレチンとβブロッカー内服でコントロール可能となり,遺伝子診断で先天性QT延長症候群(2 型)と診断した.両親にシミュレータを用いて,AEDトレーナーを用いた小児BLSの講習を行い,1 歳になるのを待って,家庭用AEDをレンタルで自宅に設置していただく予定である.【結語】致死性不整脈を来す可能性のある乳幼児に対して,両親・家族にAEDトレーナーを用いた小児BLSの講習を行い,家庭用AEDを導入することも管理上,考慮すべきである.

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