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当院でのASDに対する治療状況—surgeon versus Amplater septal occluder ?
社会保険中京病院心臓血管外科1),小児循環器科2)
加藤 紀之1),櫻井 一1),森脇 博夫1),杉浦 純也1),波多野 友紀1),松島 正氣2),大橋 直樹2),西川 浩2),久保田 勤也2)

ASD(いわゆる二次中隔欠損)は,若き心臓外科医のfirst stepとして手術が行われてきた.しかし当院では2006年 6 月以降,食道エコーによる適応基準に該当した単独ASD症例に対してAmplatzer septal occluder(ASO)による治療を行うようになり,その事情が大きく変わってきた.MICSにより創部が小さくなったとはいえカテーテル穿刺よりは大きく,創痛も術直後には認め,重篤な合併症の可能性がある.また手術では入院期間がASOよりも長く,医療費も約 2 倍とASO優位なのが現状である.2006年 6 月から2008年 1 月までに当院で治療を行った,複雑心奇形を合併しないASDは60症例あった.このうちASO施行症例は38症例,手術症例は19症例であった.この期間中にASO不適となり手術適応となった症例の内訳は,“大きな欠損”が10症例(53%)で最も多く,次いで上縁あるいは下縁欠損が 4 症例(21%),多孔性 3 症例(16%),その他が 2 症例であった.またこの中にはvalvular PSに対して同時に交連切開を行った 1 例とTRに対してTAPを施行した 1 例が含まれていた.さらに過去 5 年間では,ASD手術症例は15~20/年を推移しており,ASO開始後に減少することはなかった.当初,ASD手術総数が減り外科医には良くないイメージが予想されたASOであるが,治療開始後,ASO目的で他院より紹介された症例の中には,欠損が大きい症例やASOが難しい辺縁の欠損した症例,あるいは手術によるPS解除やTAPを必要とする症例も含まれており,ASO不適で手術になる症例も増えたことから,ここ 1 年半は例年どおりのASD手術数となった.今後,ASO症例が増えることでそれに併せ手術症例が増えることが予想される.

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