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大動脈弁逸脱を合併した心室中隔欠損の手術適応とその成績
兵庫県立尼崎病院心臓血管外科1),小児循環器科2)
小田 基之1),藤原 慶一1),大谷 成裕1),大野 暢久1),藤原 靖恵1),今井 健太1),李 進剛2),坂東 賢二2),佃 和弥2),坂崎 尚徳2)

【目的】大動脈弁逸脱を合併した心室中隔欠損症(VSD)の手術適応に対して多くの議論がなされている.当院ではmajor VSD症例は大動脈弁逸脱が認められた時点で手術適応としている.今回当院での大動脈弁逸脱を伴うVSD手術症例に対し検討を行った.【対象】2004年 9 月から2007年12月までに当院で行われたmajor VSD手術症例123例のうち,大動脈弁逸脱を合併した40例を対象とした.症例は年齢:生後10カ月~32歳(平均 3 歳 4 カ月),男:女 = 23:17であり,体重:16.4±12.3kgであった.欠損孔の部位は漏斗部29例(73%),傍膜様部 9 例(22%),筋性部 2 例(5%)であった.右冠尖逸脱は38例で,無冠尖逸脱が 1 例,無および右冠尖逸脱が 1 例(ともに傍膜様部欠損)であった.また,術前心エコーにて中等度以上の大動脈弁逆流は 3 例あり,すべてに大動脈弁形成術を施行した.Qp/Qs:1.08~2.75(平均1.4±0.3)であり,L-R shunt:2~40%(平均26.1±2.8%)あった.また,手術所見では欠損孔の大きさは7.7±2.3mmであった.【成績】院内死亡および遠隔期死亡は認められず,大動脈弁形成術例および成人例を除き,全例で小切開法による根治術が可能であった.また,術前認められた大動脈弁逆流に関しては全例で改善が認められた.【結論】大動脈弁逸脱を合併した心室中隔欠損症手術症例においては小切開法を用い,かつ安全に手術を施行可能であった.

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