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Fontan術後患者の発育・発達状態の評価
東京慈恵会医科大学小児科
藤原 優子,斉藤 和恵,浦島 崇,安藤 達也,斎藤 亮太,高木 健,飯島 正紀,衛藤 義勝,中澤 誠

【背景と目的】Fontan手術を施行した幼児・学童のQOLを考慮するのに発育・発達の評価は必要で,就学時の相談に有用である.大学病院小児科でFontan手術を施行した幼児・学童を対象に,発育・発達の状態と日常生活での問題行動の有無について評価した.【対象と方法】Fontan手術を施行した 7 例(1~15歳)を対象とした.症例 1 はFontan術直後にtake-downしGlenn術後,症例 2 はFontan術直後にtake-down後に再度Fontan術に到達した例,症例 3 は蛋白漏出性胃腸症を合併,症例 3,4 はFontan後にペースメーカ植込み,症例 5 は無脾症,その他 2 例である.受診時に新版K式発達検査を施行し,発達指数(development quotient:DQ)を評価,姿勢運動DQ,認知適応DQ,言語,社会DQに分け分析,子どもの問題行動には,子どもの行動チェックリスト(CBCL親用)を用い子どもの身体的訴え・不安・社会性・思考・注意などを評価した.姿勢・運動領域は 3 歳半課題で上限,DQ 70以下を発達遅滞とし,55~70は軽度,40~55は中等度と判定した.【結果】Fontanのtake-downを要した症例 1,2 は全領域DQは軽度の発達障害があり,粗大運動の発達の遅れは顕著であった.また,中程度の発達障害を持つ症例 4 は,中学から不登校となり,2 年間のひきこもりの後に情緒障害学級に移籍した.CBCLでの問題行動は認められなかったが,母親が心疾患についての本人への告知の時期や本人の障害の受容についての不安や,子どもの対人・社会性の心配が示された.その他 4 例は全領域DQが96~109であり,Fontan術後の血行動態も安定していた.【結論】今後,就学相談でのアドバイスや家族の意思決定にあたり,継年的な知的発達フォローは有用であると思われた.また,小学校以降はWISC-3による緻密化した評価による経過観察と,必要な際の就学相談による介入が望まれる.

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