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心房間交通の開存に難渋した左心低形成症候群の 3 例
横浜市立大学附属病院小児循環器科1),心臓血管外科2),東京都立清瀬小児病院心臓血管外科3)
渡辺 重朗1),志水 直1),西澤 崇1),岩本 眞理1),町田 大輔2),磯松 幸尚2),益田 宗孝2),寺田 正次3)

【はじめに】左心低形成症候群症例において心房間交通は必要不可欠である.心房間交通狭小化のため治療に難渋した左心低形成症候群の 3 例について報告する.【症例】症例 1:HLHS(MS,AS)の生後 6 時間の男児,心房間交通を認めないためBASを試みたが卵円孔閉鎖のためBAS不可能であった.家族から手術の同意を得られずそのまま永眠した.症例 2:(SDD)DORV hypo LV MS AS hypo arch,Norwood術後の 1 歳 2 カ月の女児,Glenn手術待機中に心房間交通が閉鎖したためASD creationを試みたがbrockenbrough needleの穿通が不可能であった.後日外科的にASD creationを行い現在Glenn手術待機中である.症例 3:HLHS(MS,AA)の生後 3 カ月の男児,Norwood + Glenn手術を待機中に上静脈洞型に近い心房中隔欠損が狭小化するためRashkind catheによるBASを行うも効果なく,express LD stentを留置したがまもなく右房内に脱落してしまった.体外への回収は困難と考え,これを下大静脈に留置しNorwood手術時に摘出した.Norwood術後,肺循環が成立せず永眠した.【考察】左心低形成症候群症例で心房間交通が狭小化した場合,左房は小さく心房中隔は肥厚しておりカテーテル治療はしばしば困難である.そのような場合には体外循環を伴う外科的治療を選択せざるを得ないが,予後は不良であると考えられる.インターベンション技術の向上が望まれる.

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