P-115
消化器疾患を合併した先天性心疾患症例の検討
倉敷中央病院小児科
柴田 敬,福島 雅子,豊田 直樹,原 茂登,脇 研自,新垣 義夫,馬場 清

【背景】先天性心疾患に食道閉鎖や鎖肛等の消化器疾患を合併した新生児症例(以後合併例)は,それぞれの疾患を単独で発症した症例に比べ治療が困難なことが多く,予後も不良である.【方法】2000年 1 月から2007年12月までの 8 年間に当院NICUへ入院した先天性心疾患をもつ患児358例のうち,食道閉鎖,鎖肛等新生児期に治療的介入の必要な消化器疾患を合併した19例について後方視的に検討を行った.【結果】先天性心疾患はVSDが 4 例,DORVが 3 例,HLHSが 3 例,PA/VSDが 2 例,CoAが 2 例,総動脈幹が 1 例,TOFが 1 例,単心室が 1 例,血管輪が 1 例,TAPVC術後が 1 例であった.消化器疾患としては鎖肛が11例(低位鎖肛 2 例を含む.3 例はその他の消化器疾患との合併),食道閉鎖が 8 例,肥厚性幽門狭窄,食道裂孔ヘルニア,臍帯ヘルニアがそれぞれ 1 例ずつの計 4 例であった.死亡例は 7 例(36.8%)であった.新生児期の死亡は 5 例で,このうちの 2 例は肺低形成であり,18トリソミー,Potter症候群,TAPVC術後肺静脈狭窄それぞれ 1 例ずつであった.28日以降の死亡が 2 例で,18トリソミーが 1 例,気管軟化症でhigh PEEP療法を行った例が 1 例であった.18トリソミーは家族が積極的治療を選択しなかった.全19例のうち気管軟化症,肺低形成など呼吸器疾患を合併していた症例が 5 例あり,うち 4 例が死亡例であった.食道閉鎖は 8 例ともGross C型であったが,2 例は最初の手術で根治術を行えず,誤嚥等を繰り返し,低肺血流型心疾患のため根治術は延期されていた.【考察】一期的根治術を行わなかった食道閉鎖例は,いずれも体重増加不良を認め,発達の遅れを認める症例もあった.このような症例では治療方針について,今後検討が必要と思われる.また,合併例の予後は,心疾患および消化器疾患よりも,むしろベースにある染色体異常や併発する気道病変に左右されていた.

閉じる