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Torsade de pointesを来した先天性QT延長症候群の新生児例
聖マリアンナ医科大学小児科
有馬 正貴,後藤 建次郎,水野 将徳,都築 慶光,麻生 健太郎,栗原 八千代,村野 浩太郎

【はじめに】先天性QT延長症候群(CLQTS)は,心室頻拍(VT)や心室細動(Vf)などの致死性不整脈から突然死を来すまれな新生児疾患として知られている.今回われわれは,torsade de pointes(TdP)を来したCLQTSの新生児例を経験したので報告する.【症例】症例は在胎38週 5 日,出生体重3,474gの男児.胎児不整脈を指摘されており,頻度増悪を契機に帝王切開にて出生した.アプガースコアは 1 分後 8 点,5 分後 9 点であった.出生時は不整脈を認めなかったが,新生児センター入室時には心室期外収縮(VPC)を認めた.心電図上では単発性のVPCであり連発することはなかったが,QTcは0.618secと著しく延長していた.生後12時間の時点で,連発する心VPCを契機にTdPと思われる倒錯型心室頻拍を認めた.発作は約20秒間で自然消失したが,リドカインとプロプラノロールの静注で治療開始し,経時的にVPCの減少およびQTの短縮を認めた.その後,プロプラノロールとメキシレチンの内服でコントロール可能となり,生後 1 カ月に退院となった.【まとめ】CLQTSは遺伝性心筋イオンチャネルの異常が原因とされており,現在ではLQTSの関連遺伝子解析が行われている.また,乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因としても注目されており,致死性不整脈や突然死を来す前にその診断がある程度可能になり,その原因遺伝子に基づいた治療が可能となっている.本症例は心電図形態からLQT3の可能性が高いと考えており,当初の内服を継続しながら遺伝子解析の結果を待っている状況である.

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