P-118
髄膜炎を契機に発見された肺炎球菌性心内膜炎の 1 例
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
加藤 温子,天久 憲治,中矢代 真美,三宅 啓,名嘉山 興隆,島袋 篤哉,我那覇 仁

【背景】肺炎球菌性心内膜炎(IE)の頻度は低いが,しばしば重篤な合併症を来すことがあるため注意が必要である.今回われわれは髄膜炎を契機に発見された肺炎球菌性IEの症例を経験したため報告する.【症例】1 歳男児.出生,既往歴,家族歴に特記すべきことなし.発熱,痙攣のため前医受診し,白血球7,100/γl,CRP 2.5mg/dl,活気良好のため抗生物質処方され自宅観察となっていた.しかし発熱持続し,発熱 7 日目に再び全身強直性痙攣認めたため当院救急センター受診した.受診時多呼吸,項部硬直を認め,血液検査で白血球18,200/γl,CRP 20.28mg/dl,腰椎穿刺にて細胞数474/γl,糖感度以下検鏡でグラム陽性双球菌を認め,髄膜炎の診断にてセフトリアキソン(CTRX),パニペネム(PAPM)を開始した.入院時より心尖部に心雑音,gallopリズム聴取され,翌日心エコーにて僧帽弁に 8×10mmの疣贅と中等度の僧帽弁逆流(MR)を認め,IEと診断した.血液,髄液培養からはペニシリン低感受性肺炎球菌が検出された.第 4 病日よりセフォタキシム(CTX)単剤を使用していたが,第15病日となっても発熱,炎症反応上昇が続いたため,バンコマイシン(VCM)を開始した.しかし経過が変わらないため,第19病日よりVCMを増量し,CTXよりCTRXに変更したところ,第30病日より解熱を認めた.またMRの改善を認めないため,カプトプリルを少量より開始している.第35病日の時点で抗生物質による治療は続けている.疣贅は縮小しており,心不全症状も認めないが,弁口および疣贅付着部の 2 カ所に中等度のMRがあることから,今後外科的検討も必要と考えられる.【結語】髄膜炎とIEを合併した報告例は少ない.また肺炎球菌性IEは心外合併症を伴うばかりでなく,弁自体の機能予後も悪いため,内科,外科を含めた集約治療が必要である.

閉じる