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外来管理中の心臓腫瘍の背景
あいち小児保健医療総合センター循環器科
足達 武憲,沼口 敦,福見 大地,安田 東始哲,長嶋 正實

【背景】心臓腫瘍は非常にまれな疾患である.小児における頻度は2,000人に 1 人以下といわれています.胎生期からの心エコーにて頻度を調べたものでは0.14%という報告もある.大人では75%が良性で,そのうちの40%が粘液腫といわれるが,小児では90%が良性の腫瘍で,そのうち60%以上が横紋筋腫で,次に線維腫が約10%を占める.今回当院で管理している心臓腫瘍の児について経過と予後について調べた.【方法】2003年 4 月より2008年 1 月までで当センターに受診した心臓腫瘍の児の症状,基礎疾患,合併症,治療の状況,腫瘍の変化などにつきカルテにおいて後方視的に調べた.【結果】当センターにて管理している心臓腫瘍の患者は11名.10名が横紋筋腫,1 名が線維腫であった.自覚症状があるものはいなかった.横紋筋腫のうち 7 名が基礎疾患として結節性硬化症をもっていた.そのうち 3 名は抗てんかん薬の内服中であった.何らかの不整脈の既往があるもの 5 名であった.合併症としてITP・アレルギー性紫斑病・外表奇形が 1 名ずつ.現在心症状に対し投薬を受けている者はいなかった.腫瘍は横紋筋腫のものは縮小傾向にあり,線維腫は増大傾向にあった.また横紋筋腫で出生時に心不全症状にて治療を受けたもの 1 名,線維腫で今後治療が必要になりそうなもの 1 名あった.【結語】心臓腫瘍は横紋筋腫が多い傾向にあった.当センターでは結節性硬化症に伴い診断されたものが過半数を占めた.横紋筋腫は次第に縮小していく傾向にあり,現在心症状を伴うものはいなかった.

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