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機能的単心室に合併する頻脈性不整脈の検討
近畿大学医学部奈良病院小児科1),日本赤十字社和歌山医療センター心臓小児科2)
武野 亨1),嶋尾 綾子1),三崎 泰志1),樋口 嘉久1),吉林 宗夫1),中村 好秀2)

【目的】機能的単心室に合併する頻脈性不整脈の診断,治療について当院症例を用いて後方視的に検討する.【方法】対象は2001年から2007年までの間に当院で経験した機能的単心室のうち,Glenn手術またはTCPC手術に到達した21例(UVH = 13, TA = 2,cTGA + hypo LV = 2,DORV + hypo LV = 2,DORV + MA = 1,HLHS = 1).【結果】21例中 4 例で頻脈性不整脈を認めた.〈症例 1〉asplenia,UVH,CAVC,PS,BDG術後の女児.4 歳時より頻脈出現しベラパミル,アミオダロンを投与されたがコントロール不良でTCPC適応外であった.5 歳時当院転院後AFと診断しカテーテルアブレーション(RFCA)施行.頻脈は軽快しTCPC適応となり現在手術待機中.〈症例 2〉cTGA,VSD,PA,hypo LVの男児.生後間もなく頻脈出現しWPW症候群に伴うAVRTと診断.ジソピラミド内服や発作時ATP,DCで対応.以後PSVT頻発し内服をベラパミル,フレカイニドと変更したが改善なく 8 カ月時と10カ月時にRFCAを 2 回施行し発作消失.その後TCPC手術を施行し順調に経過中.〈症例 3〉asplenia,UVH,CAVC,PS,TAPVCの女児.1 歳時に他院で一期的TCPC試みたが循環成立せずtake downしrt. mBTとlt. Glenn施行.5 歳時に頻脈出現しソタロール内服,発作時ATPで対応.7 歳時より頻脈頻発し内服をアミオダロンへ変更したが軽快せず.心電図上PATと診断しプロプラノロール併用で発作減少.IVC閉塞のためRFCA不可能.〈症例 4〉asplenia,UVH,CAVC,PA,PDA,TAPVC,CAVVR severeの女児.1 歳時に頻脈出現しアミオダロン内服,発作時ATPで対応.twin AV nodeに伴うAVRTと診断しRFCA待機中であったが,2 歳 4 カ月時に腎不全のため永眠.【結語】機能的単心室には多様な頻脈性不整脈を合併する可能性があり,特に高度心房負荷例に多い.その合併は予後に大きな影響を与える.頻脈性不整脈の精確な診断とRFCAを含めた計画的な治療戦略が必要と考える.

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