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複数の弁に異型性狭窄を認めたNoonan症候群の 1 家族例
天理よろづ相談所病院小児循環器科
吉村 真一郎,松村 正彦

Noonan症候群の肺動脈狭窄は異型性狭窄であることが多いが,複数の弁の異型性についての報告はほとんどない.今回,当院でPTPV直後に急変し死亡したNoonan症候群乳児例の剖検所見およびその姉の手術所見より肺動脈弁のみでなく,複数の弁にも同様の異型性弁所見を認めたので報告する.〈症例 1〉1 カ月男児.母,姉ともにNoonan症候群のため施行された胎児エコーでPS/ASD,ASと診断.出生時心エコーでPSは 3m/s,AS 3.2m/s,生後12日目のエコーでPS 4.3m/sと増悪認め,全身性浮腫と体重増加不良もあり,生後40日に心カテ.over systemic RVPであり,造影では肺動脈弁尖の動き乏しく,著しい肥厚を認め,dysplastic pulmonary valveと診断.aortic valveも同様の所見.手術までの時間稼ぎとしてPTPVにtryしRV/LV 1.6から1.0に改善が得られたが,直後にshock状態となり死亡.剖検上,肺動脈弁は二尖弁でdysplastic valveであった.大動脈弁,僧帽弁,三尖弁にも同様のdysplastyを認めた.〈症例 2〉現在 2 歳,症例 1 の姉.胎児エコーでsupra ASの疑いあるも軽度,PS認め,1 歳時のカテでover systemic RVPであり,造影上もdysplastic pulmonary valveと診断され,MVOPを用いたRVOTR施行.PFO閉鎖時に観察した三尖弁もdysplasticな所見であった.軽度のvalvular ASも伴っている.〈症例 3〉現在34歳,母.1 カ月検診で心雑音指摘され,3 歳時に当院紹介.Noonan症候群,valvular PS/ASDの診断で,心カテ上over systemic RVPであり,pulmonary valvotomy施行.弁は三尖であったが非常に肥厚していた.現在の心エコーで大動脈弁,僧帽弁ともに厚く,dysplasticである.

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