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18トリソミーに対する心臓手術の適応
倉敷中央病院小児科
原 茂登,野田 良典,福島 雅子,柴田 敬,豊田 直樹,脇 研自,新垣 義夫,馬場 清

【背景】新生児医療の領域では,18トリソミーに対して「積極的治療をしない」方針で医療を行うことが一般的であった.近年では傾向が少しずつ変化し,18トリソミーであっても積極的治療介入を行う施設が増加している.また「親の会」やインターネットの普及で家族間での情報の共有が進み,心疾患に対して手術を希望される事例も増加している.【目的】18トリソミーに対して心臓手術を行うことが,予後の改善にどのように影響するか検討する.【対象/方法】1987年から2007年までの21年間に当院に入院した18トリソミー26例中,経過が追跡できなかった 2 例および部分トリソミー 4 例を除外した,合計20例の18トリソミー(現在生存中のものを含む)を後方視的に検討した.【結果】全例に何らかの心疾患を合併し,VSD 11例(PDA合併を含む),DORV 2 例,CoA complex 2 例,IAA + VSD 1 例,PDA 1 例,HLHS 1 例,UVH 2 例であった.心臓手術を行った者は 5 例で,内訳はPDA結紮 + PA絞扼術 1 例,CoA修復 + PDA結紮術 1 例,PA絞扼術 1 例,PDA結紮術 2 例であった.手術を勧めたが御家族が希望されないものが 6 例で,ほかに蘇生行為そのものに否定的な症例が 2 例あった.また心疾患に対して手術の必要がないと考えられた症例が 4 例であった.全20例中で在宅管理に移行できたものが 7 例(うち心臓手術症例 1 例),入院中に死亡した症例が11例(うち心臓手術症例 4 例),現在入院中のものが 2 例であった.【考察】今回の検討では手術を行うことでその予後が有意に改善したとは言えないが,低出生体重や合併奇形等の心疾患以外の因子が加わることが治療成績に影響していると考える.18トリソミーであっても御家族と十分に協議して,積極的治療介入を検討する必要がある.

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