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小児期に生体部分肺移植術を受けた原発性肺高血圧患児の遠隔期管理の問題点
鹿児島大学病院小児科
櫨木 大祐,上野 健太郎,和田 昭宏,江口 太助,野村 裕一,河野 嘉文

原発性肺高血圧症(PPH)の治療の一つとして,本邦でも1998年から生体部分肺移植(LDLT)が行われその予後を改善している.小児期LDLT後の問題点としては,拒絶反応に加え,本人の成長等多くが考えられる.しかし,本邦における小児LDLT後の長期経過の報告はない.今回小児期LDLT後長期管理しているPPH 2 例の経過を管理上の問題点とともに報告する.【症例 1】7 歳時にPPHと診断され,epoprostenol等の治療も効果は一時的で10歳時に母親から右片肺LDLT施行.術後 3 カ月でNYHA 1 度まで改善し,肺活量は術前1.2l(70%N)→6 年後2.8l(70%N)と増加した.明らかな拒絶反応は認めなかったが,低身長,2 次性徴の遅れを来した.思春期遅発症の診断でテストステロン投与を開始され,その後身長の伸びがみられた.6 年間の経過中に感染に伴う入院は 2 回であった.軽度の高コレステロール血症,Cre高値の持続を認めている.現在は身長160cmとなり免疫抑制剤等 6 剤の内服を継続し,通常の高校生活を行っている.【症例 2】10歳時にPPHと診断され,epoprostenol等の治療も効果は一時的で13歳時に両側LDLT施行.術後 1 年でNYHAは 1 度まで改善し中学・高校も卒業できた.5 年間に感染症に伴う入院は 1 回であった.軽度の高コレステロール血症,Cre高値を認めている.左肺の閉塞性細気管支炎と肺活量低値(68%N),低体重(33kg)があるが,免疫抑制剤等 8 種類の内服を継続し,現在は社会人として通常に勤務している.【結語】LDLT後のQOLは比較的良好であるが,解決すべき問題点も多く,注意深い管理が必要である.

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