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Bosentanを継続投与できなかった症例の検討
東邦大学医療センター大森病院小児科
池原 聡,嶋田 博光,高月 晋一,中山 智孝,松裏 裕行,佐地 勉

【目的】副作用のためbosentan(Bos)の継続投与が困難であった症例の臨床的特徴を明らかにすること.【対象と方法】対象は当院で加療中の肺高血圧症29例(IPAH:24,Eisenmenger症候群(ES):5,男:女 = 13:16,平均年齢16.5±7.7歳)である.Bosを継続投与可能であった17例をA群とし,肝機能障害,自覚症状の悪化のため継続投与が困難であった12例をB群として開始時投与量,重症度(NYHA,6MWD),心エコー指標(Tei index,TRから推定した右室圧),心臓カテーテル検査から得られた心血行動態指標(mPAP,Rp,CI)を比較検討した.【結果】A群では 2 例がBos単独療法,15例でflolan,beraprost(BPS),sildenafil(Sil)の併用療法が行われ,B群では 4 例がBos単独投与,8 例でA群と同様の併用療法が行われていた.Bos初期投与量はA群36.76±15.75mg,B群42.32±18.98mgと有意差はなく,Tei indexではA群0.71±0.27,B群0.74±0.34と有意差はみられなかったが推定右室圧はA群75.90±19.23mmHg,B群97.05±25.34 mmHgと有意差がみられた(p = 0.02).NYHAはA群2.5±0.6,B群2.6±0.5;6MWDはA群432.7±107.7m,B群427.0±101.2m;mPAはA群65.8±12.8,B群67.8±12.8(p = 0.67);RpはA群19.49±9.01U・m2,B群23.45±69.38 U・m2;CIはA群3.2±0.8,B群2.8±0.7と有意差はみられなかった.また肝機能障害症例では全例がSilの内服は行っていなかった.B群では 1 人が心不全増悪のため肺移植が行われ,1 人が肺移植待機中であった.【結語】肝機能障害を除くBosを継続投与できなかった症例では内服前の重症度が高く,自覚症状の悪化例ではSil内服症例に多かった.

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