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腎血管性高血圧による二次性心筋症の 1 乳児例
久留米大学医学部小児科
岸本 慎太郎,須田 憲治,工藤 嘉公,石井 治佳,家村 素史,松石 豊次郎

【症例】7 カ月男児.【主訴】心雑音.【現病歴】周産期に特記事項なし.4 カ月時,発熱・蛋白尿・尿潜血陽性を繰り返し,近医で排泄性膀胱尿道造影・腎シンチグラム・腹部造影CT施行され,急性巣状細菌性腎炎と診断された.7 カ月健診で心雑音指摘され,当科紹介.【既往歴・家族歴】先天性疾患なし.若年突然死なし.【初診時診察所見】身長67.4cm(-1SD),体重7.4kg(-0.9SD).心拍数100回/分,呼吸数20回/分,経皮的酸素飽和度98%.顔貌異常および外表奇形なし.心音整.第 2 肋間胸骨左縁にLevine II/VIの収縮期雑音あり.【初診時検査所見】〈血液検査所見〉BNP 722pg/ml.その他,特記所見なし.〈胸部X線検査所見〉心胸郭比66%.〈心電図検査所見〉左室負荷所見を認める.〈心エコー図検査所見〉心室中隔厚8.8mm(+6.2SD),左室後壁厚8.3mm(+5.7SD),左室駆出率50%.左室流出路狭窄,大動脈弁狭窄および大動脈縮窄なし.その他,特記所見なし.心筋症の検査目的で入院.【入院後経過】二次性心筋症の鑑別として,代謝疾患のスクリーニングを行うも異常認めず.収縮期200mmHg・拡張期110mmHgと異常な高血圧認め,心臓カテーテル検査に伴って行った検査で,アルドステロン2,690pg/ml,レニン活性78ng/ml(右腎静脈)・38ng/ml(左腎静脈)・45ng/ml(下大静脈)と高値認め,選択的腎動脈造影では右腎動脈重度狭窄を認めた.腎血管性高血圧による二次性心筋症と診断.右腎動脈狭窄はカテーテルインターベンション困難な状態であったため,内服にて血圧・心機能のコントロールを計ることとした.現在,ACE I,ARB,βblocker内服し,外来管理中.【結語】腎血管性高血圧による二次性心筋症の乳児例を経験した.血圧測定が診断の契機となった.

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