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さまざまなPLE発症要因と治療—Fontan術後PLE治療指針解明のために
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部循環機能制御外科1),小児医学2)
吉田 誉1),北市 隆1),加納 正志1),神原 保1),黒部 裕嗣1),元木 達夫1),浦田 将久1),早渕 康信2),井上 美紀2),北川 哲也1)

【目的】PLE例では空腸粘膜下層に高度のリンパ管拡張がみられ蛋白漏出を来すとされるが,その病態と治療方針は解明されていない.今回,さまざまなPLE発症要因と治療経験を報告しPLEの病態と治療法解明の一助としたい.【症例】(1)SLV:10カ月の両方向Glenn手術後より永久的左横隔神経麻痺を認めた.1 歳時Rp 3.2UでTCPC施行.術 4 カ月後より浮腫を来しPLEと診断.CVP 11mmHgだが,肺血流シンチで左肺血流7.3%と低下しており内科治療に抵抗した.左横隔膜縫縮術を施行後からPLEは改善し,5 歳までPLEの再発を認めない.(2){S,L,L},CAVV,TAPVC:10カ月時に両方向性Glenn,1 歳時にRp 1.5UでTCPC施行.2 歳時にPVOの進行とともに右心不全,蛋白漏出を来し,PLEと診断.すぐにPVO解除術を施行し,術後すぐにPLEは改善し,4 歳までPLEの再発を認めない.(3)HPLH:11カ月時にhemi-Fontan術,1 歳時にRp 2.5 Uでlateral tunnel-Fontan術施行.2 歳時に浮腫出現しPLEと診断.内科治療に抵抗した.3 年後にFT通路に狭窄を認めたためTCPCへ転換したが,7 歳時まで蛋白漏出は持続しステロイドを離脱できない.(4)HPLHの18歳の女性.9 歳時に両方向Glenn,10歳時にTCPC施行.3 年後よりPLE発症.3 カ月後にCVP 20mmHgまで上昇し,5mm径のfenestration再作製.CVP 14mmHgまで低下するも,内科治療に抵抗しPLEが継続.【考察】PLE発症には腸管内リンパ管圧の上昇が一因とされる.PLEの原因探索を積極的に行い,肺血流低下やCVPを上昇させる器質的原因が存在する場合には,内科的治療よりも積極的な外科治療を行い,異常なCVP上昇期間を短くすることが重要である.

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