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Aubert-Imai変法にて動脈位スイッチ術を施行したTGA shaher5A 2 例の報告
横浜市立大学附属病院小児循環器科1),東京都立清瀬小児病院心臓血管外科3),横浜市立大学附属病院心臓血管外科3)
西澤 崇1),志水 直1),渡辺 重朗1),山口 和子1),岩本 眞理1),寺田 正次2),町田 大輔3),磯松 幸尚3),益田 宗孝3)

左右冠動脈がright facing cuspより起始しShaher 5Aの走行をするTGA II型 2 症例に対し,Aubert-Imai変法にて動脈位スイッチ術を施行し,就学前の心臓カテーテル検査にて肺動脈狭窄,Aubertルートトラブル,冠状動脈の狭窄を認めず良好な早期遠隔期成績を認めたので報告する.両症例ともカテーテルにて壁内走行を診断した.周術期管理として早期スイッチ手術は困難と判断し,1 例目は日齢34にPA banding + 左modified BTシャント術を施行し体重 5kgを目標に待機し,生後 5 カ月時にAubert-Imai変法にてスイッチ術を施行した(体重5.9kg).VSDが10mm以上と大きく待機中にBASは要しなかったが,術直前のカテーテル検査にてAo圧80/50,PA圧50/26(mmHg)とPHを認め,術後もPH crisisに陥りNO吸入を要した.肺動脈の処理として自己心膜 + Dacronメッシュにて前方拡大形成した.6 歳時カテーテル検査でRV圧34/e8,MPA圧31/7,LPA圧24/9,RPA圧23/9(mmHg)と有意なPSを認めなかった.2 例目は生後 1 カ月ごろにPA banding + BTシャント術施行を考慮するもVSDが 6×6mmと小さく,mixing不良にて日齢 3 および日齢36に緊急BASを要した.待機困難と判断し日齢39にスイッチ術を施行した(体重3.4kg).術後PH crisisは認めなかった.肺動脈の処理は自己心膜にて前方形成した.6 歳時カテーテル検査でRV圧30/e4,MPA圧20/8,LPA圧17/7,RPA圧18/8(mmHg)と有意なPSは認めなかった.bandingにより壁内走行の冠動脈が圧迫されるリスクもあるため手術時期は検討が必要であるが,TGA II型でLV圧が保てたことが乳児期のAubert術施行を可能にしたと考えられた.

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